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餅茶加工のプロセス解説:こだわりの製法と知られざる工夫
- [2024.01.18] Written By 北城 彰(Akira Hojo)

プーアル茶生茶、プーアル熟茶、白茶など、さまざまなお茶が餅茶として加工されています。通常、餅茶の製造は形状や硬さに焦点を当てられ、品質にはあまり影響がないと思われがちですが、実際には餅茶への緊圧作業はお茶の品質に大きな影響を与えます。そのため、緊圧工程は製茶の重要な一環であり、慎重に管理された作業が必要です本コラムでは、餅茶加工における重要なポイントをいくつかご紹介いたします。
輸送し易いように緊圧茶が考案された
プーアル茶の産地である雲南省では、プーアル茶は外国との貿易において重要な商品でした。雲南省には、かつての交易ルートである茶馬古道が存在し、これを通じてプーアル茶は中国周辺の諸外国に輸出され、お茶と馬が物々交換されていました。輸送には主にロバが利用されましたが、散茶の性質上、非常に嵩張り、体積が大きくなるため、運搬を容易にするために緊圧(圧縮成形)されるようになりました。

熟成しやすいように圧縮した等の説もありますが、私はこれは後付けの説だと考えております。プアール茶は元々「辺境の地のお茶」と言うような位置づけであり、当時は熟成香が云々というような繊細なお茶ではありませんでした。
圧縮の方法ですが、基本の流れは、
1. 餅茶のサイズに基づき茶葉の計量
2. 計量した茶葉を金属の筒にいれ蒸気を茶葉に通すことで、茶葉を軟らかくする。
3. 布の型に軟らかくなった茶葉をいれ、成形
4. 万力や、巨大な石、人が上に乗るなど各種方法で圧縮
5. 乾燥
プーアル熟茶を餅茶に加工している動画です。
ただし、プアール生茶と熟茶では圧縮方法が異なります。生茶はお茶の成分がそのまま残存しており、非常に粘性が高いことから手作業で緊圧することが出来ます。加圧する際の圧力も軽めで、比較的緩く緊圧されています。それに対して、熟茶は微生物発酵を経て作られるお茶であるため、発酵後のお茶は粘性がなく、パサパサした物性です。このため、プーアル生茶のように手作業で緊圧を行った場合、茶葉は崩れてしまいます。このため、熟茶の緊圧は油圧の強力なプレス装置を用いて行います。このことから、熟茶はそれなりの規模の工場がないと、餅茶加工を行うことができません。
白茶を餅茶に加工している動画です。基本、生茶の餅茶加工も全く同じ手順で行われます。
茶葉に通す蒸気の熱量の重要性
餅茶の加工において品質に大きな影響を与える要素は2つあります。まず、最初の工程は茶葉に通す蒸気の熱エネルギーの大小です。
上記の動画をご覧いただくと分かるように、茶葉を軟らかくするためには蒸気を使用しますが、この蒸気の出力(温度)が最終的な仕上がりに劇的な変化をもたらします。多くの業者は、茶葉をより迅速に軟化させるために、強力な蒸気を使用します。ただし、この強力な蒸気を使用すると、茶葉が高温に晒され、その結果、まるで蒸青緑茶のような味わいになってしまいます。
高温の蒸気により、茶葉に含まれる葉緑素(クロロフィル)が酸化分解し、葉緑素と結合していたマグネシウムが遊離するため、渋味や苦味を呈するお茶になります。そのため、蒸気の温度管理は非常に重要であり、適切な温度で茶葉を処理することで、望ましい風味と品質を確保できます。上記の動画では、ゆったりとした蒸気を通しており、さらに筒を二段にすることで蒸気による熱ダメージを抑えています。工場によっては、シューと音を立てるほど強い蒸気をあてる場合も珍しくありません。

餅茶の乾燥方法の重要性
次に、蒸気と同じく重要なのは、緊圧したあとの餅茶の乾燥方法です。お茶の乾燥には主に乾燥機を使用する方法と、自然乾燥の2つがあります。
乾燥機を利用する方法と、自然乾燥とでは、商品の仕上がりが全く異なる上に、熟成をしたときのお茶の変化にも大きな差が生じます。
緊圧する業者の方針、依頼をするバイヤーの好みで、乾燥方法が変わりますが、どの方法がよいかという点は人それぞれで、皆それぞれに異なる論理があります。
私達は、長年の経験からから、自然乾燥を採用しております。乾燥時に熱を極力かけないことで、茶葉に含まれる成分を変化させたくないという理由からです。

お茶の緊圧作業は、プーアル茶製茶工場では一定の規模を持つ工場の多くが自社で行っています。ただし、蒸気の通し方や乾燥方法においては、各工場で異なる手法が取られており、丁寧な仕事をする理想的な工場は非常にまれです。私達は、以前、理想的な餅茶製造工場を見つけるために、雲南省にいる多くの知人から情報をもらい、数多くの加工業者を訪問しました。その結果、現在お付き合いしている、餅茶加工の専門業者と出会うことができました。彼らはお茶に対するケアが非常に優れており、常に満足できる仕事を提供してくれます。仕上がりの餅茶の水分についても、希望通りに制御できるため、輸送中に発生するかもしれないカビなどの心配もなくなりました。

当店では、プーアル茶や白茶は各種生産者から散茶の状態で調達し、それを餅茶加工スペシャリストの工場に送ります。この流れを構築したことで、近年では安心して餅茶加工が任せられるようになりました。
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