プーアル茶の加工現場で見た多様な釜炒り方法 | お茶の専門店HOJO

私はプーアル茶の生産者を選ぶ際には釜炒りの技の優劣を判断の基準とします。プーアル茶の生産において釜炒り（殺青）は最も重要な工程だと考えているためです。

プーアル茶作りにおいてフライパンの材質の選択は重要

釜炒りに使用するフライパンですが、材質と厚さが重要な要素となります。
薄いと熱の伝わりが不均一になるため、温度分布が安定せず、茶葉に安定して熱を加えることが出来ず、焦げが生じたり、逆に火が入らないと言った問題が生じます。
材質ですが、鉄が理想です。最近ではアルミ製のフライパンが普及しておりますが、アルミのフライパンで釜炒りをしたお茶は、釜炒り終了後にはコクが薄くなり、同時に舌に残るような渋味が増します。

釜炒りの方法は人によって様々な工夫が

釜炒りの方法ですが一般的にはフライパンの上の茶葉を素手または手袋をして炒めます。私も何度もやったことがありますが、とても熱く、手は火傷するわ、茶葉は焦げるわで一筋縄ではいきません。
釜炒りの作業で重要なのは同じ茶葉がフライパンの底面に接し続けない事です。常に、茶葉の位置が変化し続けるように動かすことが重要で、手返しがキーとなります。

私が今回訪問した生産者は手を全く使用しておりませんでした。
最初見たときは「あれ？」と思いましたが、作業を観察し、出来上がった茶葉を見ることで、深く納得しました。

素手を使い、お茶を裏返す作業は確かに格好が良いし、伝統技術的な雰囲気を感じさせられます。
ただ、熱さがゆえに、どうしても作業が簡略化されやすく、殺青不足や逆に焦げの原因になります。
重要なのはお茶を均一に殺青することであり、その為に必要な道具を用いる事は、ある意味、「改善」だと思いました。

今回訪問した生産者のグループでは、この他にも様々な工夫を施しており、彼らによって生産されたお茶はまるで押し花のように美しく仕上げられておりました。
この生産者が手がけたお茶が数種類、今年発売のラインアップに含まれます。

著者・文責：北城 彰（Author：Akira Hojo）株式会社HOJO代表（CEO）

お茶の専門家として、中国、台湾、インド、日本のお茶を仕入れ、自社ブランドにて日本国内及び世界に販売。年間3ヶ月は中国台湾の現地に滞在し、生産管理、仕入れに従事。マレーシアの首都クアラルンプールThe Gardens Mallにて直営店HOJO Tea SDN BHDを運営中。

静岡県立大学大学院　食品栄養科学 修士（Master of Food and Nutritional Sciences）

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