2024年の雲南省お茶シーズン:予想外の気温と収穫の混乱

[2024.05.30] Written By

長い雲南省の仕入れを終え、現在マレーシアのクアラルンプールに滞在しております。輸入したお茶の評価や海外用のお茶の発送など細かな手配が必要なため、クアラルンプールの会社に来月まで滞在予定です。

今年はシーズンの最初である3月から最後まで雲南省に滞在することができましたので、今年の雲南省におけるお茶の状況について振り返ってみます。

2024年は例年と比べ非常に高い気温

今年のお茶のシーズンは、中華正月以降、乾燥した日が多かったため、お茶の発芽時期が遅くなると予想されていました。しかし、今年は例年に比べて非常に気温が高く、3月下旬には日中は半袖で過ごせるほど暖かい天候でした。

この暖かい気候のため、予想に反して、3月下旬頃から標高2000メートル付近でも若い木が摘み頃を迎え、4月上旬の清明節前後にはお茶摘みが非常に忙しい状況となりました。
私たちは4月前半に野生茶と白茶の生産に注力し、4月15日頃にはほぼ必要な白茶と野生茶(白茶・プーアル生茶)の生産を終えました。

お茶が一斉に成長したことでお茶摘みも製茶もパニックに!

4月15日以降はプーアル生茶の生産に注力する予定でしたが、その頃から天気が崩れ始め、一週間ほど曇りと雨が続きました。特に山間部ではまとまった雨量が観測され、その結果、思わぬ事態が発生しました。

例年には見られない高温と豊富な水分の供給により、高標高地や老木の茶の木も含めて、お茶が一斉に成長し始めたのです。4月22日以降、天気は曇りと晴天が交互に訪れましたが、お茶の猛烈な成長は止まりませんでした。そのため、多くの茶園でお茶摘みが追いつかず、多くのお茶が手つかずで、摘み残される状況が至る所で生じました。

また、製茶場には突然、大量のお茶が一斉に供給される事態が続き、連日徹夜に近い作業が続きました。


4月中旬以降お茶の入荷殺到で連日ごった返す製茶場の庭

一斉にお茶が成長した結果、4月のうちにお茶のシーズンは、ほぼ終了しました。2019年には6月近くまで収穫が続いていたことを考えると、今年のお茶の成長はかなり異常だったと言えます。5月になると、樹齢が非常に高い老木や収穫が遅い紫茶がわずかに収穫される程度で、それも5月の第1週には終了しました。


釜炒り中に疲れから寝てしまう人も続出。

シーズン後半に仕入れに来た人々には厳しい年に

このため、今年はお茶の不作ではなかったものの、収穫期が激しく重なった結果、お茶摘みや製茶が間に合わず、また、一番のピーク時に雨が一週間続いたこともあり、最終的には製茶できたお茶が非常に少ない年となりました。事実、4月後半以降に仕入れに来た人々は、仕入れるお茶が極めて少ない状況に直面したのでは無いかと思います。

新茶は軽く熟成した後、夏頃に発売予定

シーズンの最初から最後まで滞在し、事前に必要なお茶を全て予約していたため、予定していたお茶を十分な量で仕入れることができました。変則的な成長が見られましたが、今年のお茶の原料品質は例年並みのまずまずと感じています。

現在、4月に発送したお茶が徐々に入荷しています。数ヶ月ほど無酸素保存で軽く熟成させ、夏頃に新茶を一斉に発売する予定です。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

雲南省の自然栽培茶で作った釜炒り緑茶
雲南春尖緑茶を発売しました。 標高2100mにある自然栽培のお茶を原料とした、プーアル茶クラスの長い余韻が特徴のお茶です。 雲南省という比類なき茶葉原料の産地 私はお茶の会社を創業して20年間の間、あらゆるお茶産地を訪問 …
産地の潮州・汕頭で人気の鳳凰単叢八仙2022を発売
2021年以来となる鳳凰単叢八仙の新ロットを発売いたします。 今回発売するお茶は、2022年産のお茶です。数年の熟成期間を経て非常に良い状態に仕上がりましたので、販売することにいたしました。 https://hojote …

最新の記事 NEW ARTICLES

雲南省の自然栽培茶で作った釜炒り緑茶
雲南春尖緑茶を発売しました。 標高2100mにある自然栽培のお茶を原料とした、プーアル茶クラスの長い余韻が特徴のお茶です。 雲南省という比類なき茶葉原料の産地 私はお茶の会社を創業して20年間の間、あらゆるお茶産地を訪問 …
産地の潮州・汕頭で人気の鳳凰単叢八仙2022を発売
2021年以来となる鳳凰単叢八仙の新ロットを発売いたします。 今回発売するお茶は、2022年産のお茶です。数年の熟成期間を経て非常に良い状態に仕上がりましたので、販売することにいたしました。 https://hojote …
大雪山野生白茶 散茶 2025年産の新茶を発売
大雪山野生白茶2025を発売しました。 https://hojotea.com/item/w11.htm 雲南省の山に自生するカメリアタリエンシスを原料に、今年も現地で原料選別から製茶まで関わって生産しました。 野生茶な …
2025年産の古樹白茶と古樹白牡丹を発売
2025年産の古樹白牡丹と古樹白茶、2種類を発売しました。 いずれも無農薬・無肥料で作られたお茶です。 実は少し前から販売していましたが、公式にはお知らせしていなかったため、本記事を書きました。 生産者と共に作り上げるお …
東山生茶2024年産餅茶を発売
東山生茶2024の餅茶を発売しました。2024年産の東山は、以前に散茶を発売し、短期間で売り切れとなりました。今回発売する2024年産の餅茶は同じ原料から作られたお茶です。餅茶は作りたては香りが比較的穏やかな傾向がありま …
雲南省の自然栽培茶を使った薪火釜炒り焙じ茶の開発
現在、私たちは雲南省に滞在し、お茶の生産に取り組んでおります。シーズンも終盤に差しかかっていますが、この時期は特に成長が遅く、質の高いお茶が収穫期を迎えるため、最後まで気が抜けません。プーアル茶と紅茶の製造を主軸としなが …
料理から見る雲南の多様性:少数民族・四川料理の交差点
雲南省に長期滞在してお茶を作っているわけですが、雨の日や生産予定の無い日は、近隣の街のホテルに滞在しております。 ホテルに滞在しているときは、外食するのですが、私達にとって、現地での食事はお茶作りと同等に興味があり、非常 …
渡辺陶三作:秋津無名異、野坂粗土急須他入荷
佐渡島の無名異焼作家、渡辺陶三氏の茶器が多種類入荷しました。 今回は、特に、秋津無名異酸化焼成と野坂炭化還元の急須・茶壺が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 秋 …
雲南白茶、理想を形にする現地生産
3月25日に雲南省に入り、現在まで白茶の製造に取り組んでいます。 本コラムでは、雲南省における白茶生産の実情や、その品質、管理のあり方についてご紹介します。 何故雲南省で白茶を作るのか 白茶といえば、まず思い浮かぶのは福 …
現地からのレポート:2025年の雲南省のお茶の状況について
3月25日より雲南省に来ております。 こちらには5月まで滞在し、現地でのお茶の生産や流通・品質管理を行います。 本コラムでは、今年2025年のお茶の生育状況、相場観などについてインプレッションを述べたいと思います。 気候 …

PAGETOP