産地でも珍しい実生老木の鳳凰単叢老欉蜜蘭香2022

[2026.01.17] Written By

非常に特別な鳳凰単叢老欉蜜蘭香2022を発売いたしました。特別である理由は、この蜜蘭香が、通常ではあり得ない実生の老木から作られている点にあります。そのため、一般的には考えられないほどの余韻が感じられ、非常に感動的な味わいとなっております。
なお、鳳凰鎮では、老木は一般に老欉と呼ばれます。

 

鳳凰単叢の販売ページはこちら
https://hojotea.com/item/houou.htm

 

鳳凰単叢の名称と香型による分類

鳳凰単叢の名称には、いくつかの異なる命名法があります。

まず、名称に品種名(より正確には系統名・基本品種名)が用いられる例として、宋種や八仙があります。これらは、鳳凰水仙群体の中から形質が比較的安定した系統として整理され、挿し木や接ぎ木によって増やされてきたものです。

一方で、流通している鳳凰単叢の大多数は、いわゆる香型と呼ばれる分類によって名称が付けられています。この場合、名称は特定の品種や母樹を直接指すものではなく、製茶後に現れる香りのタイプを基準に分類されます。
例えば、非常に有名な蜜蘭香も品種名ではありません。蜜蘭香という品種が存在するわけではなく、蜜蘭香型の香り特性を示した単叢が、一括して蜜蘭香に分類されます。

蜜蘭香に用いられる茶樹は、白葉系が多いのは事実ですが、それに限定されるわけではありません。白葉以外の系統や、実生由来の茶樹であっても、製茶後の香りが蜜蘭香型と判断されれば、蜜蘭香として扱われます。このように、香型で決まる鳳凰単叢の銘柄では、製茶後の香りのタイプを指標として、複数の種類の茶葉が原料として用いられます。

老欉水仙として生産された背景

ここで紹介する鳳凰単叢老欉蜜蘭香2022は、当初は老欉水仙として生産されたお茶です。
2022年は、私たちの生産者が烏崠山の標高約1200mに位置する烏岽桂竹湖村の茶園を新たに取得し、そこでの収穫を初めて行った年でした。

この茶園は、烏崠山の中にある複数のピークのうち、「天池」と呼ばれる一つのピークの山頂部近くに位置しています。標高が高く、環境条件にも恵まれているため、古くから良質なお茶が採れる産地として知られてきました。一方で、取得当初は実生由来の老木が数多く残されており、それぞれの茶樹について香型に基づく整理や命名は、まだ行われていない状態でした。

鳳凰鎮では、香型が明確に定まっていない茶樹は単叢として扱われず、水仙という名称で一括されます。その中でも、特に樹齢の高いものは老欉水仙と呼ばれます。こうした事情から、収穫初年度であった2022年は、茶樹を樹齢やセクションごとに分け、老欉水仙として複数のロットに分けて生産されました。

その後、私達が2022年産の老欉水仙を評価したところ、その中に、結果として明確な蜜蘭香型の特徴を示すロットが含まれていることが分かりました。製茶直後の段階でもその傾向は確認できましたが、時間の経過とともにその特徴はさらに明確になり、現在では蜜蘭香型としてはっきりと認識できる状態になっています。

原料となる老欉茶樹と価格構造

このお茶が品質的に優れている理由は、原料がすべて高標高の茶園に生育する実生の老木である点にあります。実生の茶樹は、挿し木の茶樹とは異なり、一本の太い主根を持ち、土壌の深部や岩盤の割れ目まで根を伸ばします。そのため、表層だけでなく、深い層の影響を強く受けやすくなります。一方、挿し木で増やされた茶樹は根が浅く横に広がるため、吸収の範囲は表層土に偏りやすくなります。

実生の老木から作られるお茶は、この根の構造の違いによって、土地の条件がそのまま反映されやすくなります。その結果、一般的な蜜蘭香では考えにくいほど長い余韻と、密度の高い香りが現れました。私自身、これまで数多くの鳳凰単叢蜜蘭香を扱ってきましたが、その中でも体感したことのない水準の蜜蘭香であり、非常に印象的なロットとなっています。

同じ樹齢の茶樹:左が挿し木、右は実生のお茶

本来、実生の老木からなる蜜蘭香は、香型が確定した単叢として流通する場合、非常に高額になります。しかし本品は、香型が未整理の段階で老欉水仙として生産・流通したお茶であったため、仕入れ価格を大きく抑えることができました。鳳凰鎮の流通においては、価格を決める要因は樹齢や標高そのものではなく、香型が明確に特定され、単叢として評価されるかどうかにあります。そのため、香型が明確ではない水仙は、同じ樹齢・同じ標高条件の茶樹から作られた単叢と比べ、一般におよそ半分程度の価格帯で取引されます。

現在、生産者はこれらの老欉水仙の茶樹について、香型ごとの分類を着実に進めています。そのため、今回のような条件が偶然重なって生まれた蜜蘭香を仕入れられる機会は、今後はほとんど期待できないと考えています。

 

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