昔ながらの伝統農法で作られた本玉露!コクの深さはキングオブ玉露

[2010.05.25] Written By

今年購入を決めた本玉露の茶園を視察しました。

玉露の色々な被覆方法

玉露は茶園に被覆をすることで作られますが、被覆の違いにより、出来上がるお茶の種類が異なります。
被覆とは、茶園に黒いシートや藁などを掛けることを言います。茶園を被覆すると、日光が遮られ、また、茶園の環境が劇的に変わるために、お茶が独特の香気と味を作り出します。被覆には幾つかの種類があります。

  1. 茶の木に直接被覆をしただけのものは「被せ茶」と呼ばれ、玉露の定義からは外れます。一般には寒冷紗が用いられ、出来上がったお茶はアミノ酸の旨味に富んだお茶になります。注:旨味=美味しいではありません。
  2. 次に、茶園にフレームを張り巡らせ、寒冷紗を掛けたタイプがあります。このタイプは茶の木と寒冷紗の間、つまりヘッドスペースがふんだんに確保されており、シートが黒いことから茶園の温度が高くなりがちです。
  3. 最後に、茶園を藁(わら)で上下左右共に囲い込んだのが、本玉露の茶園です。本玉露の場合、お茶の木と藁との隙間を極力狭くします。内部の温度は寒冷紗のタイプよりも低く、収穫時期も遅くにずれ込みます。

深いコクと持続性のある余韻が特徴の本玉露

2も3も玉露には代わりがないのですが、決定的に違うのは、本玉露の味と香りの奥深さです。「コク」、或いは、余韻の深さとでも表現するのが適切かもしれません。
何故、このような違いが生じるのでしょうか?農協の方と生産農家に詳細を聞かせて頂きました。本玉露の優れた品質の秘密は、被覆している「藁」にありました。
藁で被覆した場合、雨が降ると、雨は藁をしたたり地面に落ちます。藁には稲に送るためのミネラル分が大量に蓄積されているため、藁から落ちた水分にはミネラル分が多量に含まれます。「作りたての藁をかむと甘い」のは藁に含まれる成分が豊富なためだそうです。この論理からすると、リサイクルしている藁では目的を完全に果たすことが出来ません。1年目の藁が最高で、2年目、3年目になるにつれてその効果は低下していくそうです。
農家では一年目の新しい藁にこだわる必要があります。良い本玉露を生み出す「こも」が黄色い色をしております。本玉露が美味しいのは、地元ではよく知られているのですが、藁で「こも」を編むのは容易な作業ではありません。かと言って、購入した場合非常に高く、収入を圧迫します。農家では、自分で田んぼを作り、その田んぼから採れた藁を奥さんがこもに編み上げるそうです。

本玉露がより多くの時間をかけて成長する理由

藁で作られた被覆は、黒い色の寒冷紗と異なり、被覆室内の温度が上がりません。
このため、茶葉は時間をかけてゆっくりと成長することで、甘みも香りもより濃厚な玉露へと仕上がります。

矛盾した玉露の市場価格

ところで、本玉露の方が圧倒的に美味しいわけですが、値段は意外にも寒冷紗で被覆した方が高く売れることがあります。これが日本の茶業界のおかしなところで、早くに収穫されたお茶ほど良い値がつく場合があるためです。

玉露は「翡翠の滴」を意味する漢字により構成されております。(玉とは翡翠を指します。)これまで、お茶が貴重故に玉露と呼ばれるのかと思っておりましたが、どうやら、この「露」は藁からしたたり落ちる滴を指しているような気がします。
今ではとても貴重になった朝比奈の本玉露は、現在既に販売中です。
本玉露
本玉露の茶園。上も下も横も藁で作られたこもで被覆されております。

尾村さん夫妻。奥様がこもを手作りされているそうです。尾村さんは手揉み茶の師範だそうです。
本玉露03
本玉露の茶園内部。実際にはもう少し暗めです。
本玉露05

本玉露06
本玉露09
此方は寒冷紗で被覆をした玉露園です。今殆どの茶園が此方のタイプです。
本玉露04
寒冷紗で被覆をした場合、茶園と被覆との間がかなりあいております。
本玉露08
農家の倉庫を見せて頂くと、古い藁と新しい藁がありました。黄色いのが今年の藁です。このような藁を使用することが美味しい玉露を生み出す源となります。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …

最新の記事 NEW ARTICLES

単株茶を含む2022年産の鳳凰単叢老欉を3種類発売
単株を含む、鳳凰単叢の老欉を3種発売しました。今回発売したお茶は以下の三種類です。何れも標高1200mの茶園産の茶葉原料から作られており、濃厚な香りと深い後味がする素晴らしいお茶です。 鳳凰単叢老欉夜来香 2022 鳳凰 …
東洞庭山産、無農薬無肥料の碧螺春を発売
碧螺春(Biluochun)は中国を代表する緑茶の一つで、その優れた品質と独特の風味で有名です。HOJOでは、無肥料無農薬栽培による、余韻の長い碧螺春をお届けします。 https://hojotea.com/item/g …
マレーシアで8年熟成の白鶯山古樹白茶2017を発売:トロピカルフルーツの香り
白鶯山古樹白茶2017を再度発売しました。同じ名称の商品をこれまでも販売しておりましたが、以前販売していたロットの商品は日本で熟成したお茶でした。今回発売する商品は8年間マレーシアで熟成をしたお茶になります。マレーシアの …
雲南省の稀少茶、大雪山野生白茶2024を発売
大雪山野生白茶2024の散茶を発売しました。 このお茶は、私達が実際に現地雲南省の産地に滞在し、現地で生産管理しながら作り上げたお茶です。 雲南省における野生茶の定義 これまで何度も説明しておりますが、雲南省 の人々は例 …
HOJO独自の新製法で実現した香り高い紅茶:雲南での挑戦
雲南省に1.5ヶ月滞在した期間中、良質な白茶やプーアル茶の生産はもちろん重要な課題でしたが、今回の大きな目標は、小ロット生産にも対応した新しい紅茶の生産方法を開発することでした。 一般的に雲南紅茶といえば、当店のラインア …
2024年の雲南省お茶シーズン:予想外の気温と収穫の混乱
長い雲南省の仕入れを終え、現在マレーシアのクアラルンプールに滞在しております。輸入したお茶の評価や海外用のお茶の発送など細かな手配が必要なため、クアラルンプールの会社に来月まで滞在予定です。 今年はシーズンの最初である3 …
2024年の白茶:理想的な天気と現地滞在で品質は上々
私たちが雲南省で力を入れているお茶の一つは白茶です。白茶は昔から、福建省と雲南省で作られてきました。 福建省の白茶は製茶はよく管理されている反面、慣行農園方式で肥料を用いた農業をしているため、原料の質に関して、私は満足で …
雲南のおもてなし文化:食事に込められた思い
中国では、挨拶代わりに「你吃饭了吗?」、つまり、「ご飯食べた?」と言うのが一般的ですが、雲南省にいると、色んな局面で、「吃饭」「吃饭」、ご飯食べていきなさいと言われます。ただ、長く雲南省に携わると、これらのご飯への誘いは …
野生茶を求め雲南省臨滄市南西部の山村へ
現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。 当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。 今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報 …
雲南省のお茶産地にてプーアル茶、白茶、紅茶の生産
3月24日から中国の雲南省臨滄市の南西部、永德、鎮康県にてお茶の仕入れ、生産を行っております。 雲南省は世界一と言っても過言で無い極上の原料がある反面、生産に対する管理が甘いため、出来合のお茶を仕入れたのでは、理想とする …

PAGETOP