プーアル生茶
プーアル生茶は熟成せずに飲むと渋い、プーアル生茶は数秒以上お湯に浸すと苦くなる等々の話をよく聞きます。しかし必ずしもそうではありません。

日本では夏や秋には殆どお茶の収穫が行われない

日本の場合、お茶は早い地方だと4月、遅い地方の場合6月から茶摘みが始まります。日本の場合、主には1番茶と2番茶のみ収穫し、それ以降はあまり収穫が行われません。真夏に摘まれたお茶は、真夏に摘んだフキ、タラの芽、その他の山菜をイメージして貰えると分かり易いと思いますが、これら山菜と同じく強い渋味や苦味を呈するため、日本の市場ではあまり受け入れられません。仮に存在したとしても番茶として非常に安価な値段で取引されます。

年に12回の茶摘み

プーアル茶の場合どうかというと、へき地にある少数民族の村、特に自然栽培を実践しているような村の場合、収穫は1番茶と2番茶程度、多くても年に数回摘んで終わりです。私はこのパターンの茶園を選びお茶を購入しております。ただし、法人経営している茶園、漢民族により運営されている茶園、有名産地の茶園ともなると、年間12回茶摘みが行われます。12回と言うことは、冬いがいはずっとお茶が摘まれていることになります。当然、春の1番茶・2番茶、秋の最後のお茶いがいは渋みや苦みが強くなり、作りたてのお茶はとても飲めたものではありません。春一番に作られるお茶は全体の生産量の12分の1以下と、非常に稀少で、市場に流通しているお茶の殆どは春以外の季節に摘まれたお茶により構成されます。この事から、無作為にプーアル生茶を購入すると、晩春・夏・秋摘みのお茶に遭遇する率が非常に高く、新鮮なプーアル生茶=苦い・渋いと言う話になります。
プーアル茶の茶摘み

全く渋くないプーアル熟茶

熟茶の場合、微生物により2ヶ月あまり発酵して作られることから、渋味の原因であると言われるカテキンガレート類などの有機化合物もトコトンまで分解されており、仮にお茶が夏摘み茶から作られていたとしても、渋みや苦みを呈しません。ただし、夏摘み茶から作られたお茶は、コクもボディも殆ど感じられず、香りものっぺりとしており、一度春摘みのお茶の味や香りを知ってしまったら以降到底楽しむことが出来ません。
プーアル熟茶

正しく熟成すると渋味の緩和速度は遅い

春以外の時期に摘まれた低品質のお茶を長期間熟成した場合、渋味は徐々に緩和されますが、理想的な方法で熟成した場合、仮に10年熟成したとしても、やはり気になるレベルの渋味が感じられます。ただ現実的には、多くのお茶販売店では外気に触れる状態でお茶を保存しております。その場合、お茶の成分が空気中の酸素や湿気により、激しく酸化されるために経年保存により渋味が劇的に緩和されると同時に、お茶は不快な劣化臭を放ちます。残念ながら、劣化臭と熟成香が区別できない人がアマチュアはもちろん、プロにも大勢いるのも現実です。

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