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お茶を飲んで健康になるためには、お茶そのものが健康であることが重要

[2014.02.20] Written By

健康的なお茶
健康になりたいと願いお茶を飲む人も多いと思います。私は健康になりたければ、健康的に育ったお茶を飲む事が大切だと考えます。

健康に寄与するのはお茶の種類ではなく、原料茶葉の質

紅茶、緑茶、烏龍茶、プーアル茶等、お茶の種類ごとに異なる機能を気にする人がおりますが、お茶の種類の違いは成分の酸化度(発酵度)の違い程度であり、私はお茶の機能性を語る上でそう大きな問題ではないと思います。お茶の機能性を語る上で重要なのは使用される原料の質であり、お茶の木がどのような環境でどのように育ち、どの時期に収穫されたかという点がとても重要だと思います。

茶葉原料の質

 

健康的な動物の肉とメタボ気味の動物の肉どちらが健康的?

例えば、動物の肉を例に挙げると、飼料を沢山与え、運動をせずに狭い空間で育った動物は、人間で言う所のメタボな状態になります。
このような動物の肉は脂肪が多く含まれますが、放牧された動物の肉と比較するとコクが少なく、味が薄く感じられます。エスキモーの人々は野生動物の生肉を食べて健康状態を維持しておりますが、もし彼らが運動不足でメタボ気味に育った動物の生肉だけを食べ続けたとしたら?同じく健康が維持できるかどうかは疑問です。

健康的なお茶とは?

健康的なお茶とはどういうお茶でしょう?私は自然に近い状態で育つほど健康的なお茶と仮定しております。自然の状態とは外部から窒素肥料や農薬などを与えず、自立している状態のお茶の木、つまり周りの生態系の一部として共存しているお茶の木をさします。

肥料による弊害

多くの農家ではお茶の収穫量を増やすために肥料を与えます。肥料を与えられたお茶には、肥料の成分が蓄積されます。例えば、窒素肥料を与えた場合、お茶に含まれる窒素は増えます。お茶の場合、窒素肥料が過剰に与えられた場合、テアニンというアミノ酸として窒素分は蓄積されます。実はアミノ酸は害虫にとって大好物です。自然の植物には殆ど害虫がついていないのに、栽培している植物には沢山の害虫がつくのは施肥される肥料が大きく関係していることが推察されます。害虫が増えると、結果的に消毒も必要になります。アミノ酸は自然の状態で育ったお茶にはごく少量しか含まれておりません。自然栽培をしていると害虫が非常に少ないのはこれが理由かもしれません。

以前にも紹介したことがありますが、以下の報告は農林水産省がまとめた物です。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/nenyu_koutou/n_kento/pdf/3siryo4.pdf
2の項目には以下の様に書かれております。

茶特有の成分であるテアニンは茶の主要なうまみ成分であり、その含量が多 いほど高品質とされる。この物質は過剰に吸収された窒素の貯蔵形態と考えられており、多肥栽培によりその含量はあ る程度上昇する。

 

海外の高級茶にはテアニンは微量しか含まれない

テアニンはアミノ酸であり旨味成分と定義されております。食品学上、旨味=美味ではありません。旨味とは、グルタミン酸ナトリウムのような特定の味を表現する言葉であり、窒素肥料を与えた結果、過剰な窒素を細胞内に蓄積するために合成されます。実際、中国茶やダージリンティの高品質のお茶をテイスティングしても旨味は殆どありません。海外における高級茶は自然栽培(バイオダイナミック農法とも言われる)で育てられることが殆どで、旨味の代わりに、ミネラルによるコク(まろやかさ)やボディ(ふくよかさ)が感じられます。

肥料により根の形状も変化する

肥料の過剰使用は、お茶の木の成分を変化するだけでなく、土壌の状態も変化します。窒素などの特定の成分の増加は、健康的な土壌と異なる特定の種類の微生物の繁殖を引き起こします。
また、先ほどの資料の5にには以下の様にまとめられております。

静岡県の茶園では窒素の多施用によりpHが低下する傾向にある。近年では約半数が3.5を下回っており、pH3.0を下回 る極めて強い酸性土壌もみられる。窒素の多施用は土壌の酸性化を引き起こし、根量の減少、根の活性低下が起きている。これは肥料の利用率の低下に つながる。

根が弱くなると言うことは、ミネラルなどの吸収能力も落ちるわけで、お茶の質の点から評価した場合、根が深くしっかりと張ってないお茶は、味が薄く、コクの少ない味になります。

自然の植物は栄養素を動物の糞や虫の死骸に頼っているわけではない

自然界の植物も当然窒素をはじめとする各種栄養を必要としておりますが、自然界では常に野生動物が糞を落としてくれるわけではありません。自然界には必要な栄養素は自然界から供給される仕組みがあります。例えばマメ科の植物の根には根粒菌という微生物が共生しております。この微生物は空気中の窒素ガスを体内に取り込むことができます。この仕組みは窒素固定と呼ばれます。根粒菌が取り込んだ窒素は、植物により利用され、その植物が枯れて分解されると、他の植物によって再利用されます。空気中の窒素を植物サイクルに入れるためには、根粒菌などの微生物の存在が重要な存在となります。一般的な茶園のように、お茶の木を密集して植た場合、お茶の木の下も、通路の部分も基本的には日陰となるために雑草は限定的にしか生えることが出来ません。この結果、雑草と共生する必要がある土壌微生物にとっては生息しにくい環境となり、人間が外部から肥料を与えないと、お茶は窒素不足に陥ります。

現代農業によるお茶の作り方の場合、雑草が生える隙間がないため、その結果、生態系を通じて空気中の窒素を土壌へ取り込むことが困難となります。

中国の高級茶は雑草と共生している

中国の雲南省や鳳凰山、武夷山などのような歴史的に有名なお茶の産地などに行くとお茶の木はバラバラと植えられており、密集しておりません。一見すると、雑草の中にお茶の木が生えているような光景です。特に高級なお茶の生産農家や、高品質なプーアル茶の産地の場合、お茶には全く肥料を与えず、また、草も刈りません。一年中、お茶の木は放置され、収穫の直前だけ、お茶の木の周りの草を刈り、お茶摘みが行われます。このような状況下、お茶の木は、周りの生態系の一部として機能しており、ある意味、「自立した状態」といえます。私が思う最も健康なお茶とはこのようなお茶を指します。
自然栽培茶

自然栽培のお茶

自然栽培のお茶

中国雲南省の放置栽培のお茶の木

日本でも行われている自然栽培・準自然栽培の取り組み

ただし、上記の様なお茶の育て方は、中国だから出来る話です。日本の場合、ある程度収量も考慮しないとやはり採算が合いません。
私の友人であり、私のお茶の仕入れ先でもある奈良県月ヶ瀬にある農家では茶の畑と同じくらいの面積の、雑草地帯を設け、そこで刈り取った雑草をお茶の畑に戻すというユニークな自然栽培方法をとっております。中国のような放置栽培方式で作られたお茶は究極の健康的なお茶といえますが、制約のある中でも健康的なお茶を作っている農家もあります。

お茶の育て方は味に反映する

肥料を大量施肥して育ったお茶とそうでないお茶は違いがはっきりと味に反映されます。肥料を沢山与えられて育ったお茶はコクが少なく味がフラットに感じられるのにたいし、無肥料や植物由来の肥料で育てられたお茶は強いコクが感じられます。また、肥料を与えて育ったお茶はアミノ酸由来の味や香りがします。違いが分かる人にとっては非常に明確な味の違いとして現れますが、分からない人には分かりません。健康的なお茶とそうでないお茶を見分けるためには、私達自身が健康的な生活をすることで味覚を常にシャープな状態に維持しておくことが重要なのかもしれません。

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