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反比例関係にある蜜香と紅茶の品質
- [2014.06.29] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
今回雲南省産の蜜香がする紅茶を発売しました。ただ、今回発売した雲南蜜香紅茶、雲南古樹紅茶 杏蜜香、共に私が販売している台湾の蜜香紅茶ほどに強い蜜香はしません。
むしろ、仄かに香る程度で、蜜香はむしろバックダンサー的な役割を担っております。同じ蜜香という名が付くお茶ですが、台湾の蜜香紅茶のように蜜香を前面におしだしたお茶ではありません。
蜜香の強さとお茶の質は概して反比例関係にある
実は私が雲南省で仕入れをしていた際は、もっと強力でインパクトのある蜜香を発しているロットの紅茶もありました。ただ、重要な点としては、蜜香が強くするお茶ほど、お茶の質自体は低下傾向にあります。
この理由を理解して頂くためには、蜜香の発生メカニズムを理解する必要があります。蜜香はウンカによる攻撃を受けた茶葉により作られます。虫の攻撃を受けた茶葉は、人間で言う抗体のような役割の物質を生合成します。この物質は生茶の状態では青々しい香りがしておりますが、発酵(酸化)することでマスカットのような香りのする物質へと変化します。
当然のことですがウンカをはじめとする昆虫類はは夏に向かうほど数が増えます。逆に、未だ肌寒い3月の頃はウンカの数はあまり多くありません。皮肉にも、茶葉の品質は春の一番早い時期ほど良く、夏に向かうにつれて質は低下します。つまり、蜜香のみを追い求めた場合、より遅くに摘まれたお茶がよく、逆に、質を追い求めた場合、より早い時期に摘まれたお茶が理想と言えます。
まさに、以下のグラフに示すとおり、蜜香の強度とお茶の品質は反比例関係にあります。
(注:下記のグラフは数値に基づいて作られたのではなく、私の経験をイメージ化したものです。)
以上の事実から、蜜香を売りとしている東方美人やダージリン2ndフラッシュのマスカテルタイプのお茶は6月に摘まれます。その結果、味は早春に摘まれたお茶と比べるとやや荒削りな感じとなり、春摘み独特の軟らかな舌触りと喉に染み入るようなやわらかさは感じられません。
蜜香も大事だが最終的にお茶の質をより重視して仕入れを行う
今回、雲南蜜香紅茶を仕入れるに当たり、蜜香を重視するか、質を重視するか非常に悩みました。蜜香を重視して4月に摘まれたお茶を選んだとしても、原料に自然栽培茶を使用しているだけに満足の行く品質はえられます。ただ、やはり3月の1番摘み摘み茶を飲んだとき、味の良さに圧倒されました。やはりお茶は飲んだときの満足感が重要だと思い、蜜香は弱めですが今回は3月摘みの一番茶を仕入れました。
蜜香に影響を与える他の要素
尚、蜜香の強度(感じられる度合い)は使用する水によって大きく変わります。水に含まれるカルシウムの量などが関係し、同じお茶でも使用する水によって蜜香が強く感じられたり弱く感じられたりします。蜜香があまり感じられないときは、よりボディが強めの水(カルシウム量が多め)を使用してみると良いかもしれません。また、東方美人と同じく、蜜香の強さはお茶の保存期間によっても変化します。一般的に多少長めに保存した方が蜜香は強くなる傾向にあります。
今回仕入れた雲南省のお茶は、蜜香という観点だけからすると、穏やかな香りですが、早摘みの質の高い原料を使って作られているため、とても飲み応えがあり、満足の行く品質だと感じております。
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