プーアル茶の揉捻
お茶の製茶工程には白茶や一部の緑茶を除き揉捻という工程があります。揉捻とはお茶を揉む工程のことです。お茶の揉捻は手揉みや機械揉みなどやりかたは色々ありますが、揉捻の強弱がお茶にどのような影響を与えるか説明したいと思います。

プーアル茶の揉捻

お茶の揉み方の違いは最終的にどうお茶に影響するか

お茶の揉み方には色々ありますが、重要なのは強く揉むか、弱く揉むかの選択です。私の場合、特に雲南省のお茶を仕入れるときは、茶園の選定、摘み方の基準設定、揉み方、殺青の基準、乾燥方法など事細かに条件を設定しております。お茶の揉み方を決めるに辺り、お茶の揉み具合がお茶にどう影響するかを理解しておくことが重要です。強く揉めば、茶葉はより撚れて、引き締まって見え、また、見た目はより均一になります。逆に、揉みが甘いお茶は、茶葉の嵩密度が大きく、見た目もあまり均一ではありません。

プーアル生茶

左は強めに揉まれたプーアル生茶の毛茶、右は軽め

揉み具合は味香りが出る速度に影響

揉み具合が最も影響するのは、お茶をいれたときのお茶の味香りの抽出具合です。そもそもお茶を揉む目的は、お茶の葉の細胞に微細な傷を付け、成分が抽出されやすくすることです。
揉み具合が強いお茶は味が出る速度が速く、1煎目からしっかりとお茶が出ます。ただし、抽出速度が速いために、お茶が出きってしまう速度も速く、何煎もいれることが出来ません。
質の良いお茶になると、私としてはあまり強くお茶を揉みたいと思いません。例えばプーアル茶にしても、軽めに揉むことで、お茶の味香りは時間をかけてゆっくりと抽出されます。つまり、何煎にもわたってお茶をいれ続けても、味や香りに持続性があり、煎を重ねても安定した香りを楽しむことが出来ます。

プーアル生茶 馬鞍山古樹生茶

馬鞍山古樹生茶の毛茶(散茶):非常に高品質のお茶ゆえに、意図的に弱く揉むことで、香りが徐々に抽出されるように設計しました。

揉み具合を変えることで煎の重ねられる日本茶に

日本茶は「針のような見た目」に固執するがあまり、強く揉まれる傾向が見られます。針のように綺麗に整った煎茶は良しとされ、逆に揉み方が足らない茶葉はあまり良い評価を受けません。ただ、「見た目」と「実際の味わい」とは切り離して考えることも重要です。実際、色んなお客様とお付き合いしていると日本茶の味が出る速度が速すぎる点について、不満を持っている人も少なからずおります。日本茶は概して強く揉まれているために、味香りが早々に出てしまい、2煎目以降、非常に味の薄いお茶になりがちです。

日本茶についても、揉みを非常に弱くすることで、より多くの煎を重ねられ、味香りが持続するようにお茶を設計するのも面白いと思います。今度機会があれば是非実験してみたいと考えております。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

2022年産の鳳凰単叢老欉柿花香単株と桂花香単株を発売
2022年産の鳳凰単叢老欉単株茶を2種類発売しました。 何れも極めて樹齢の高い木ゆえに、非常に奥行きのある、長い余韻のお茶です。濃い後味に加え、1年以上の熟成による、濃厚な香りをお楽しみ戴けます。 鳳凰単叢老欉柿花香 単 …
ダージリンファーストフラッシュとオータムナル紅茶を発売
ダージリンを2種類発売しました。今回の新商品は、Arya茶園の春摘みファーストフラッシュのルビーと秋摘みオータムナルのルビーです。春摘みのルビーは4月に仕入れ、その後無酸素状態で熟成させることで、香りをさらに高めました。 …

最新の記事 NEW ARTICLES

野生茶を求め雲南省臨滄市南西部の山村へ
現在、雲南省臨滄市の南西部にてお茶の仕入を行っております。 当店にとって重要な商品の1つに野生茶があります。野生茶は製茶はもちろんですが、原料確保が一番大きな課題です。 今回、新たに野生茶が有る場所があるらしいと言う情報 …
雲南省のお茶産地にてプーアル茶、白茶、紅茶の生産
3月24日から中国の雲南省臨滄市の南西部、永德、鎮康県にてお茶の仕入れ、生産を行っております。 雲南省は世界一と言っても過言で無い極上の原料がある反面、生産に対する管理が甘いため、出来合のお茶を仕入れたのでは、理想とする …
2022年産の鳳凰単叢老欉柿花香単株と桂花香単株を発売
2022年産の鳳凰単叢老欉単株茶を2種類発売しました。 何れも極めて樹齢の高い木ゆえに、非常に奥行きのある、長い余韻のお茶です。濃い後味に加え、1年以上の熟成による、濃厚な香りをお楽しみ戴けます。 鳳凰単叢老欉柿花香 単 …
ダージリンファーストフラッシュとオータムナル紅茶を発売
ダージリンを2種類発売しました。今回の新商品は、Arya茶園の春摘みファーストフラッシュのルビーと秋摘みオータムナルのルビーです。春摘みのルビーは4月に仕入れ、その後無酸素状態で熟成させることで、香りをさらに高めました。 …
標高2100mのシングルガーデン産プーアル生茶、 火地古樹生茶2021を発売
火地古樹生茶2021を発売しました。 このお茶は、小さな単一茶園(シングルガーデン)のお茶のみから加工されたプーアル生茶です。 https://hojotea.com/item/d147.htm シングルガーデン産のお茶 …
ペットボトル入りのお茶の味に大きく影響するビタミンCの存在
近年、多くの人々にとって、お茶を飲むということはペットボトル入りのお茶を飲むことが普通な今日この頃ですが、本コラムでは、ペットボトル入りお茶の特徴的な味に焦点を当ててみたいと思います。 酸化防止目的のビタミンCの添加 コ …
鳳凰単叢蜜蘭香2023と老欉姜花香2022を発売
鳳凰単叢烏龍茶を2種類発売しました。今回販売したのは、蜜蘭香濃香2023 No.1と老欉姜花香2022です。 https://hojotea.com/item/houou.htm 質の良い鳳凰単叢の特徴 良質な鳳凰単叢は …
ちょっと変わった白茶の楽しみ方!驚きの応用アイデアをご紹介
水出しで抽出した白茶と、お湯で淹れた白茶はまったく異なる香りになることをご存じでしょうか?本コラムでは、水出しを更に応用した白茶の楽しみ方を紹介したいと思います。 殺青工程の無い白茶には酵素が残存 白茶の特徴は、製茶工程 …
大雪山野生茶ベースの特注ジャスミン茶:野生普洱茉莉龍珠
半ば好奇心から、大雪山野生生茶をベースとしたジャスミン茶を作ってみました。 日本はもちろん、中国でも極めて珍しいお茶ができました。 https://hojotea.com/item/s08.htm ジャスミン茶を特注生産 …
ミルクの香りがする烏龍茶とは?
お客様から偶に「ミルクの香りがする烏龍茶」を紹介してほしいとお電話頂く事があります。また、台湾を訪れた際に飲んだミルク烏龍茶が忘れられないというエピソードも耳にします。このコラムでは、そんなミルクの香りがする烏龍茶に焦点 …

PAGETOP