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メールマガジン第70号 : 2016年01月16日発行

1つの急須を複数のお茶に使いまわすのは良くないと聞いたことがありませんか?
実際はどうなのか改めて説明したいと思います。

基本的に1つの急須を複数のお茶に対して使用は可能

陶器の場合、1100℃から1200℃付近で焼成が行われることが一般的であり、土の成分であるミネラルの多くは融点に達しておりません。この為、磁器やガラスと異なり多少の吸水性を示します。なお、吸水性の多少は素材によって大きく変わり、急須によっては、お茶が外側にじんわりと染み出してくる場合もあります。このような茶器の場合、紅茶をいれれば紅茶の香りが、プーアル茶をいれればプーアル茶の香りが陶器の素材に染みこみます。この為、1つの急須を多種類のお茶に使いまわすことはあまりお薦めしません。私が現在開発中(やや開発が遅れておりすみません。)の伊賀天然朱泥の土も同じく吸水性が高いため、紅茶をいれると、急須の表面にも紅茶の成分がじんわりと染み出します。また、お茶をいれ終わった後に急須に熱水を注ぐと、湯にほんのりと紅茶の色が染み出し、紅茶の香りがします。基本的にこのような急須は複数のお茶に対して使用すべきではありません。ただし、そうかと言って、複数のお茶に対して使用できないわけでもありません。お茶をいれ終わった後、急須の外側からも熱水をかけ急須内外に付着したお茶の成分をしっかりと洗い流せば、複数のお茶に対して使用しても問題ありません。

以下のタイプの陶器は吸湿性が高く、お茶を吸いやすい傾向にあります。

耐火性が高い砂質の土で作られた急須

信楽土によく見られるように、急須に使われる土の目がやや粗い場合、吸水性が生じがちです。篩などで粗い粒子を除去し、更に、ドレン機を用いて土に含まれる空気を除去すれば、吸水性は下がります。ただし、吸水性を下げるための施策をすればするほど、土肌の荒々しさは失われ、急須は滑らかな外観となるため、どの辺で妥協するかが悩みどころです。

焼成温度が低い急須

焼成温度が低い急須は土の目が細かくても吸水性があります。近年では中国宜興製の急須で必要以上に低い温度で焼成されている急須を目にします。低い温度で焼成された急須は、叩いたときに金属音がせず、木を叩いたときのようなボソボソとした音がします。低い温度で焼成するほど、焼成中の割れによる破損が少なくなり、歩留まりが上がるため、生産社が意図的に焼成温度を落としているようです。低い温度で焼かれた急須は、吸水性はさておき、墨汁のような土の臭いがします。また、温度が低いため、お茶をいれたときに、土の成分が溶出しやすく、健康面でも好ましくありません。「急須を使い始める前に、お茶を漬け込む」という文化も、焼成温度が低く、臭いが強い急須の存在がゆえにあるように思います。

急須の素材によってはお茶との相性が悪い場合も

急須の土とお茶に含まれるミネラルの相性が良くない場合があるため注意が必要です。例えば、萬古焼の土(紫泥急須)と私が販売している信楽粗土は鳳凰単叢烏龍は相性が悪く、これらのお茶と組み合わせると渋味を呈し、同時にコク(余韻)がカットされ味が平坦になります。武夷岩茶や安渓産の鉄観音でも同様の傾向が見られます。逆に、HOJOのラインアップの中で、佐渡島産の各種急須、古琵琶湖土、今度発売予定の伊賀天然朱泥の急須などは全ての種類のお茶との相性が良く、組み合わせを悩む必要がありません。このように、急須によっては特定のお茶と組み合わせると、むしろ、味の余韻(奥行き)を無くす場合があるため、事前に相性を確認する必要があります。

佐渡島産の秋津無名異土還元焼成と野坂粗土還元焼成の急須を発売しました。

http://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm
http://www.hojotea.com/item/tozo_akitsu_reduction.htm
渡辺陶三氏作の急須を2種類発売しました。何れも長く品切れ/品薄となっていたモデルです。
秋津無名異は現在、佐渡空港がある場所から収集された土です。秋津無名異の土は焼き方に関係無くお茶を非常にふくよかにし、香りの広がりを増します。
無意識にお茶を飲んでもお茶の味がとても豊で華やかに感じられます。
還元焼成の土は、酸化焼成の土よりもコク/余韻がが強く、幅広い種類のお茶に使用いただけます。


いっぽう、野坂還元の土は、ボディを押さえ、コクを引き延ばします。余韻が強く、透明感のある味わいが好みの人にお勧めです。
香りが強いお茶、例えば、鳳凰単叢烏龍や強めに火が入っているお茶にこの土を使うと、香りはやや穏やかになるものの、余韻が非常に強まり、香りの戻りが強く感じられます。
私は個人的に香りが強めのお茶に野坂還元を用いるのが好みです。

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