潮州を代表する鳳凰単叢烏龍茶は、お茶とは思えないレベルのフルーツのような甘い香りがするお茶です。初めて飲まれる方の多くは、その香りの甘さに驚かれます。この甘い香りを作り上げるためには、発酵だけでなく、伝統的な炭火による焙煎技術が用いられます。100℃以下の低い温度で6時間〜数十時間かけてじっくり焙ることで、熟成を加速し、濃厚な甘い香りが形成されます。私は個人的興味でから他産地の烏龍茶を鳳凰単叢烏龍の焙煎方法で仕上げる事を思いつきました。ちょうど今月、潮州の鳳凰鎮に鳳凰単叢烏龍の仕入に行くため、その際に実験をするべく計画中です。今回、安渓の肉桂と鉄観音を潮州へ送り、鳳凰単叢烏龍と同じ方法で低温焙煎をしようと考えております。

極めて稀少な低温+炭焙のお茶

近年、炭火による焙煎は非常に少なく稀少化しております。中国台湾茶を問わず、烏龍茶の大半は熱風での焙煎を採用しております。ただ、熱風と、炭火では熱の伝わり方が異なります。輻射熱である炭火の場合、熱が芯まで伝わるため、炭火で焙煎したお茶は、誰が飲んでも瞬時に分かるレベルで味も香りも優れております。炭火で焙煎した場合、熱が素材を貫通するため、非常にスッキリとした、統一感のある香りになります。ただ、炭火は非常に温度制御が難しく、多くの生産者は100℃を超える温度で焙煎しているのが実情です。ただし、焙煎温度が100℃を超えた場合、焦げが生じ、その結果、「香ばしい」香りが形成されます。武夷山、安渓、台湾にも炭火で焙煎が行われているお茶がありますが、その多くは100℃を超える焙煎温度が用いられており、香ばしい香りを売りとしております。決して香ばしい香りが悪いというわけではなく、それも「個性」として市場では受け入れられているのも事実です。現在、100℃以下の低温長時間の焙煎で仕上げられているお茶は、標高の高い茶園産の鳳凰単叢烏龍茶と超高級な武夷烏龍くらいで、他のお茶ではあまり見かけません。

安渓の肉桂と鉄観音を鳳凰単叢風に仕上げる

私は「安渓産の烏龍茶を原料に用いて、鳳凰単叢烏龍の伝統焙煎で仕上げてみたい」と長年考えておりました。異なる産地間でのコラボレーションは中国でもあまり例が無く、結果が想像できるようでできません。幸い、私は安渓の生産者と潮州の生産者の両方と仕事付き合いがあるため、両者に計画を話し、安渓から烏龍茶の毛茶を仕入れ、潮州へ送り、低温の炭火で焙煎をして貰うことにしました。今回実験するのは鉄観音と肉桂です。どちらもHOJOのラインアップとして販売しているお茶で、これらを100℃以下で炭焙することで、どのようなお茶に仕上がるかテストする予定です。焙煎は鳳凰単叢烏龍茶の清香タイプに相当する方法と、濃香タイプに相当する方法を両方試す予定です。もし、良い結果がでた場合は、限定での販売も考えたいと思います。

今月下旬に鳳凰単叢烏龍茶の仕入れのために潮州へ行く予定ですので、その際に焙煎に立ち会い、試作実験を行う予定です。肉桂と言えば、武夷烏龍茶でも人気の銘柄です。潮州式の炭焙で仕上げた肉桂がどのようなお茶に仕上がるのか、今から非常に楽しみです。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

この記事に関連するHOJO Teaの商品


関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …

最新の記事 NEW ARTICLES

東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm   野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …

PAGETOP