雲南省臨滄市の大雪山産の野生のプーアル生茶2020年産を発売しました。今年はお茶の原料も、生産者も、生産方法も変え、大きく内容を変えました。

https://hojotea.com/item/d27.htm

野生茶が美味しい理由

野生のお茶とは、人によって農業で作られたお茶ではなく、山に生えている野生(天然)のお茶です。
HOJOでは臨滄の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスというお茶を仕入れております。

野生茶と聞くと、野生という言葉の響きゆえに、野生動物のような荒々しさ、苦い、渋いなどのラフなな印象を持つ人がいるかと思います。
ただ、よく考えてみてください。野生=天然の食材なわけです。例えば、野生のキノコ、野生の魚貝類、山菜、何れをとっても野生の食材には圧倒的な美味しさがあります。
野生の食品の共通点は、まず後味が非常に濃い点です。次に、透明感があり、すっきりしています。香りが強い点も天然ならではでしょう。
春の初めに摘まれた野生茶は、正に山菜その物です。
HOJOで紹介する野生茶は渋みや苦みが無く、透明感のある濃い液体を楽しんでいただくためのお茶です。ミネラルの濃度が非常に濃いため、お茶を飲み込んだ際に、体の奥に広がるような、体の細胞に染み渡るような体感が楽しめます。

2020年は野生茶の収穫地域を変更

昨年、雲南省に2ヶ月滞在していた間に、永德県の各地を訪れ、野生茶や標高の高いエリアにある茶園を新規開拓すべく、情報収集をしました。あるとき、私の茶師の親戚を頼り、大雪山界隈のワラビで生計を立てている村を訪れたことがありました。

山奥にある村で、車で数時間かけて行きました。この村人は春にワラビを収穫しており、それが一年の収入の多くを占めていると聞きました。驚いたことに、それらワラビの行き先は、他でもない日本でした。いわゆる、山菜うどんや山菜蕎麦に入っているワラビは実は雲南省が主な産地だということをその時に知りました。道理で山菜うどんに入っている山菜が意外と美味しいわけです。
話は逸れましたが、彼らはワラビを求めて山々を歩き回るため、野生茶が何処に生えているのか、非常に詳しく知っており、また、最寄りの村や村人を紹介して貰いました。この時に得たの情報のおかげで2020年は新産地からお茶が買えるようになりました。

実際の原料確保に関しては、私が長年お付き合いのある茶師一家に現地で動いてもらいました。
野生茶の原料茶葉を入手するには、あらかじめ口約束で購入の意図を伝え、更に、当日の夕方、村人の自宅に待機して、その場で現金を支払いお茶を確保する必要があります。本物の野生茶は非常に希少であるため、需要が高く入手は容易ではありません。「本物」という言い方をしましたが、近年では茶園産のカメリアタリエンシスも通称「野生茶」として雲南省に広く流通しております。実際、野生茶と呼ばれているお茶の95〜98%以上がこのタイプのお茶です。これらのお茶は野生種であっても、人の手で栽培されているわけで、野生茶ではありません。

2020年よりより低温での殺青を導入

今年から野生茶の殺青条件を改善したいと思い、製茶を行う茶師を変えました。現在HOJOの販売する殆どのプアール生茶の製茶を行っている茶師に大雪山野生茶の製茶も委託しました。


今回茶師を変えた最大の理由は、より低い温度で殺青することで、お茶の成分の熱分解を抑え、その結果、お茶の味を滑らかに仕上げたいと思ったからです。
ちょうど野菜炒めを連想していただければ理解していただけるかと思います。野菜炒めは、強火でやり過ぎると焦げてしまい、野菜の本来の香りが感じられなくなります。
また、何時までも炒め続けていると、くたくたになってしまい、新鮮さが無くなります。最低限の火を通した野菜炒めは香りが温存されており、食感もいいですよね?
お茶の殺青工程は正に野菜炒めを作るのと同じです。
この改善を行ったことで、2020年産の大雪山野生茶は液体の質が非常に滑らかになり、香りより上品で豊になりました。
私としてはまだまだ改善点はあると思っておりますが、それでも過去に作ってきた大雪山野生茶の中でも突出してよく出来たと思います。

初心者、水出し、経年熟成にもお勧め

野生茶は香りの個性がしっかりとしているため、私は初心者にお勧めしやすいプーアル生茶だと思います。お茶の飲み込んだあとに、ブドウのようなフルーツの香りが優しく感じられ、口の中が上品な甘味で満たされ、非常に理解しやすい美味しさのお茶です。

お湯で出すのも勿論ですが、水出しにしても美味しいお茶です。

また、大雪山野生茶は熟成させてもとても面白いお茶です。無酸素のまま、1年以上熟成させると、蜂蜜のような甘い香りが形成され、数年以上熟成すると、濃いフルーツの香りがより強くなります。

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