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お茶を美味しくいれるためには、質の良い茶葉を選択することも必要ですが、水や道具の選択はそれ以上に大切です。お茶をいれる道具や水の種類によって茶葉本来の品質が発揮できなくなります。お茶を販売している私としては、お茶の品質を落とすことなく飲んで頂けることを願っております。細かな気遣いの積み重ねでお茶は美味しく入るようになりますゆえ、是非以下のポイントを一度、チェックしてみてください。これらは非常に些細な点に思われるかもしれませんが、実は味に大きな影響を与えます。

使用する水

1. 塩素は除去していますか?塩素は沸騰しただけでは除去できません。塩素はそれ自体に臭いがあるばかりか、お茶の香り成分を酸化するために、お茶をいれたときにお茶の香りが減少します。

日本茶、中国茶、紅茶などおいしく飲むための水

2. 塩素除去のフィルターは水の味に影響します。値段の高い安いではなく、メーカーによって使用する材料が異なるため、味への影響が異なります。

お茶の味に影響を与える浄水フィルターの材質

3. 一晩おいた水と汲みたての水は余韻の深さが異なります。汲み置いた方が水の余韻は増します。

4. 硬水か軟水にこだわる必要はありません。大事なのは含まれるミネラルの総量ではなく、組成です。硬水でも美味しくはいる水もあればその逆もあります。

5. 蒸留水・RO水はボディと軟らかな味わいをカットします。プロはお茶の評価をする際に、これらの水を意図的に使用し、お茶の欠点をより強調します。お茶の鑑定目的の場合は良いですが、そうでない場合、ミネラルフォーター・塩素除去済みの水道水をお勧めします。

6. 炭で水を処理するのはお勧めしません。炭は原料の木由来のミネラルを含んでおり、それが水の味に影響します。水単体では確かに味は改善されますが、急須や特定のお茶との相性が悪くなる場合があります。君子危うきに近寄らずです。

湯沸かし

1. アルミ・銅・銀・真鍮のヤカンは決して使用しないでください。これらの素材は余韻を無くし味をフラットにすると同時に、舌にこびりつくような渋味を呈します。HOJOではステンレスの湯沸かしを推奨します。尚、電気ポットなど内部がガラス製の湯沸かしもお勧めです。

2. 鉄瓶を過信しないでください。鉄瓶で湯を沸かした場合、茶器との相性が重要な問題になります。組み合わせによっては、味がマイナスに変化する事もあります。鉄瓶によってはふくよかさをカットするものもあります。また、メーカーによっては使用している鋳物の材料やコーティング材料ゆえに、全く味を改善しないばかりか、味をフラットにする鉄瓶もあります。また、鉄瓶には急須の素材との相性があります。鉄瓶単体では水の味を改善しても、急須との組み合わせによってはお茶の味をフラットにする場合もあるため注意が必要です。「鉄瓶で沸かした湯+急須」と「ステンレスで沸かした湯+急須」で一度比較し、鉄瓶を使用した方が美味しいことを再確認した上で使用しましょう。

知らないと大変な鉄瓶と急須の組み合わせ

3. 水垢をとってませんか?水垢の本体は、炭酸カルシウムです。この物質は水をふんわりと、ふくよかに、甘くします。水垢は決してとらずそのまま放置してください。

お茶を美味しくいれるためには水垢取りはNG

4. ヤカンで複数の種類の水を沸かしておりませんか?異なる水には異なる種類のミネラルが含まれており、それがヤカンの内壁に付着しております。水の種類を替えると、過去に付着したミネラル(水垢)が溶出するために、水の味が全く安定しません。通常、新しい水に変えた場合、最低10回以上は沸かさないと」味は安定しません。

5. 湯を沸かすのに土瓶を使用しておりませんか?土瓶は見た目が格好良いことから台湾製の土瓶を初め人気があります。ただし、素材と味との関係を検証して作られている土瓶は極めて少なく、市場に流通している土瓶の多くが水の味をフラットにします。是非ステンレスのやかんを利用してください。

熱源

加熱方法によって水の味は変化します。IHで加熱すると、ふくよかさが減少するため、香りが穏やかになります。加熱方法でお茶の味が変化することを意識しましょう。

湯を沸かす方法によって変わるお茶の味

急須及び茶杯

1. 陶製の急須は味を良くすると思われがちですが、それは迷信です。味を良くする土はほんの一握りで、実際、市場に流通している急須の多くは味をむしろフラットにしたり、舌にこびりつくような渋味を呈します。土を選ぶ際には、売り手がどれだけ味に関する知識を有し、それを意識をして土選びをしているかという点が重要なポイントとなります。また、新しく急須を入手された場合、ガラスの急須でいれたお茶と比較し、急須を通すことで味が良くなっていることを再確認することが重要です。

2. 磁器はニュートラルと思われがちですが、これも迷信です。使用されている釉薬によって、味が良くも悪くもなります。以下の写真の湯飲みはホームセンターで購入しました。一見無難な磁器に見えますが、お茶をいれると、香りは減少し、余韻がカットされ、また、舌にこびりつくような渋味を呈します。磁器だからと言って、無条件に安心はできません。市販品ですとボーンチャイナやボーンチャイナ風(牙白)の材料が無難です。味をよくする材料や釉薬の方が、圧倒的少数であるという事実を意識して選ぶことが重要です。

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3. ガラスの急須を選ぶ際には決して色が付いている素材は選ばないようにしましょう。ガラスに色を付けるためには金属が用いられます。それらの金属は顕著に味に悪影響を及ぼします。

色ガラスで顕著に変化するお茶の味

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4. クリスタルガラスはボディ(ふくよかさ)は増大しますが、余韻をカットし、渋味を呈します。

5. 急須と異なる素材で作られた茶杯を使われる場合、相性に気を配りましょう。例えば、還元焼きで作られた萬古焼と、酸化焼成の朱泥(赤い)茶器は相性が合いません。また、急須と茶杯それぞれに味を良くする素材だったとしても、組み合わせると、お互いが拮抗して味がフラットになる場合もあります。茶杯は急須と同じ素材を使うか、或いは、味に対するマイナス影響が少ない磁器やガラスを用いるのが無難です。

異なる材質の茶器の組み合わせはお茶をまずくすることも

お茶の保管

1. 茶筒の内面の金属がお茶の質に影響を与えます。茶筒にお茶をいれておくと、良くも悪くもほんの1週間程度でお茶の品質は変化します。内面が錫、ステンレス以外の材質には気をつけましょう。お茶を包装しているアルミ袋は、アルミラミネート、アルミ蒸着と呼ばれ、お茶に接する内面はナイロンなどのプラスチック素材でできており、金属による影響はありません。茶筒の目的は湿度を一定に保つことです。その目的の観点からは袋にいれて密封しておくのがむしろ無難とも言えます。詳しくは以前のコラムをご覧ください。

お茶の保存容器とお茶の品質との深い関係

2. お茶を冷蔵庫にいれておけば安心と思っておりませんか?お茶は冷蔵庫でも劣化します。

知らないと大変!お茶の正しい保存方法

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