高級ジャスミン茶の作り方。ジャスミン茶の選び方

[2018.10.04] Written By


ジャスミン茶の仕入で広西壮族自治区に行きました。何回かに分けて、ジャスミン茶の作り方、どのような要素が品質に影響するかなどを紹介したいと思います。

ジャスミン茶(茉莉花茶)とは

ジャスミン茶って具体的にどういうお茶か知ってますか?
ジャスミン茶というと、ジャスミンの花を乾燥したお茶、或いは、ジャスミンの葉を乾燥したお茶と思われがちですが、そうではありません。
ジャスミン茶は緑茶とジャスミンの花を混ぜあわせることで、緑茶にジャスミンの香りを吸わせて作ります。つまり、ジャスミンの花や葉ではなく「お茶」です。
尚、質の低いジャスミン茶は、一度利用されたジャスミンの花で香りをつけたり、ジャスミンの香料を噴霧して作られます。

ジャスミン茶の製造工程

ジャスミン茶のベースとなるお茶は、その殆どが緑茶ですが、基本どのようなお茶でもかまいません。ジャスミンの花は夜に開花するため、水分を落とした茶葉とジャスミンの花を夕方に混ぜあわせ、朝までかけて茶葉にしっかりと香りを吸い込ませます。朝、篩にかけ、茶葉と花が分離され、回収された茶葉は再び乾燥され、夜に再びジャスミンの花と混ぜます。基本、混ぜる回数が多いほど、香りが強くなります。

ジャスミンの花と緑茶を混ぜている工程

ジャスミン茶に使われる緑茶

10年ほど前までは、福建省産の福鼎大白などの品種から作られた緑茶がジャスミン茶の王道でした。ところが、2013年頃から白茶の値段高騰に引っ張られ、福建省産の緑茶の値段も高騰してしました。10年前と比べると、ベースとなる緑茶の値段は10倍に高騰しております。値段高騰に伴い、より生産量を増やそうと、肥料も多用されるようになっております。このため、コストと品質の点、更に農薬の面から、近年では雲南省産の緑茶が注目されております。雲南省の緑茶の多くは、プーアル県で生産されており、標高が高く、肥料をあまり使用してないことから、味が濃く感じられ、福建省産のお茶とは方向性が異なる物の、飲みごたえがあり美味しいお茶です。

ジャスミンの市場周辺には沢山の緑茶の卸店がありました。これらのお茶は通常質の良くないジャスミン茶用です。

ジャスミンの花の産地

福建省では2010年くらいまでは、ジャスミンの花も積極的に栽培が行われており、当時は、福建省で作られた緑茶が、福建省産のジャスミンの花によって香り付けされておりました。2015年頃から福建省では高速鉄道や高速道路などのインフラが急速に開発されたことで、人件費が高騰しました。それに伴い、福建省産のジャスミンの花は、殆ど作られなくなり、現在ではほぼ消滅に近い状態です。それに対して、政府をあげてジャスミンの花の栽培に力をいれているのが広西壮族自治区です。広西は雲南省と広東省の中間地点に位置しており、ベトナムのお隣です。壮族という少数民族が人口の殆どを占めます。標高が低く、南西部に位置するために年間を通じて温暖な気候と、安価な人件費、広大な土地が豊富にあることから、10年以上前から中国最大のジャスミンの生産地となりました。福建省産のジャスミンの花の供給がほぼ無くなったことから、福建省のジャスミン茶の生産会社の多くは広西壮族自治区へ移動しました。

広西壮族自治区横県のジャスミン鮮花市場

非常に手がかかるジャスミン茶の仕入

福建省や雲南省で作られた緑茶は、広西壮族自治区にある各工場へと運ばれ、そこでジャスミンの花の香りを吸わせる作業が行われます。仕入れる側からすると、まず、春にベースとなる緑茶を確保し、夏〜秋にジャスミン茶を作り上げる花の香りを吸わせる作業を手配する必要があります。着香は何回行うか、どのような方法で行うかなど、色々方法にノウハウがあり、通常は生産された先行サンプルを1-2回受け取り、香りと味を評価しつつ、着香の専門家と生産方法の調整を行います。他のお茶と比べて非常に仕入れに手がかかるお茶です。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …

最新の記事 NEW ARTICLES

大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm   野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
非常に稀少な野生茶、永徳野生白茶2024を発売
永徳野生白茶を発売しました。このお茶は2021年に一度発売されましたが、瞬く間に売り切れ、その後の入荷はありませんでした。質が高く、個性的な香りで当店でも非常に人気の高いお茶です。 永徳野生茶は、雲南省臨滄市永徳県で、牛 …

PAGETOP