世界で一番おいしい紅茶はどれだと思いますか?こんな質問をすると、お茶の美味しさは主観的なので「おいしい」の規準は人それぞれという声が聞こえてきそうです。正山小種は数ある紅茶の中でも圧倒的な個性を有し、人によっては最もおいしい紅茶として正山小種を上げる事も多々あります。

 

西暦1000年頃の宋の時代は緑茶の製法が開発されました。そして、その500年後の明の時代になると、発酵茶の技術が発達しました。

1600年頃には、福建省を中心に紅茶が作られるようになりました。言わずとしれた正山小種(ラプサンスーチョン)です。

これらのお茶は発酵に加えて、低温長時間の火入れ熟成が行われ、フルーツを想像するようなあまい香りが特徴のお茶です。

 

明の時代に脚光をあびたのは武夷烏龍茶と鳳凰単叢烏龍茶のような高度な製茶技術とフルーティな香りがとくちょうの烏龍茶でした。

同時期に、同地域で生産された正山小種にかんしても、これら烏龍茶の製法が模倣されていることから、同じような高い完成度のお茶だったにちがいありません。

煙臭いというイメージがつよい正山小種ですが、元祖の正山小種は果物のような香りがしていたはずです。

 

正山小種の製法を模倣して作られたキームン紅茶

福建省で発達した紅茶は、世界にも紹介され、その需要はいっきに拡大しました。これにより、福建省だけでは紅茶の供給がまにあわなくなり、その結果、安徽省のキームンでお茶が開発されました。

キームン紅茶と正山小種はなにかと共通点がありますが、これはキームンが正山小種の製法をまねて作られていることにきいんします。

また、現在でもキームン特貢やキームン極品など、上の品質になるほどに、フルーツの香りが強く感じられます。

そのキームン紅茶の製法を改良して作られたのがダージリンティ、そしてセイロンティと続きます。

つまり、紅茶の歴史の中で、全てのお茶のモデルになっているのは正山小種の製法です。

 

現在一般的に流通している正山小種と言えば、煙臭い紅茶ですが、元々のお茶がただ煙り臭いだけだったらキームンを始めとする他産地が模倣するはずがありません。正山小種の「正山」とは、本物の、正真正銘のという意味です。世の中に多くの模倣品が出たからこそ、この様な名前が付いたそうです。

 

本場、星村に存在する極上の正山小種

実は武夷山の星村鎮桐木に行くと、昔の正当派、正山小種を思わせる超高級茶が存在します。

烏龍茶のような長時間の萎凋を技術を伴う発酵に加え、低温で数十時間に及ぶ火入れ熟成が行われており、まるで鳳凰単叢烏龍のような甘いフルーツの香りがします。その香りは余りにフルーティ過ぎて紅茶と言うよりも烏龍茶を飲んでいるようです。

このお茶を飲むと、なぜ正山小種がイギリスで大ブームになったのか、なぜ、多くのお茶が正山小種の製法を真似ようとしたのか、全てが一瞬で理解できます。

残念ながら、値段が恐ろしく高すぎて私も未だ仕入れたことがありません。1kgが数十万円します。ただ、いつかは仕入れたいと願っており、今年の目標の1つです。

個人用に購入した茶葉がありますので、参考までに写真を添付致します。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

渡辺陶三作:秋津無名異、野坂粗土急須他入荷
佐渡島の無名異焼作家、渡辺陶三氏の茶器が多種類入荷しました。 今回は、特に、秋津無名異酸化焼成と野坂炭化還元の急須・茶壺が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 秋 …
長期熟成をした緬境野生茶2014年産を再発売
緬境野生茶 2014(生茶)マレーシア熟成 緬境野生茶 2014は、マレーシアと日本で長期保存をしており、しっかりと熟成が進んだお茶です。 このお茶は数ヶ月間、有酸素で雲南省で保存し、その後無酸素にて追加熟成をしておりま …

最新の記事 NEW ARTICLES

料理から見る雲南の多様性:少数民族・四川料理の交差点
雲南省に長期滞在してお茶を作っているわけですが、雨の日や生産予定の無い日は、近隣の街のホテルに滞在しております。 ホテルに滞在しているときは、外食するのですが、私達にとって、現地での食事はお茶作りと同等に興味があり、非常 …
渡辺陶三作:秋津無名異、野坂粗土急須他入荷
佐渡島の無名異焼作家、渡辺陶三氏の茶器が多種類入荷しました。 今回は、特に、秋津無名異酸化焼成と野坂炭化還元の急須・茶壺が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 秋 …
雲南白茶、理想を形にする現地生産
3月25日に雲南省に入り、現在まで白茶の製造に取り組んでいます。 本コラムでは、雲南省における白茶生産の実情や、その品質、管理のあり方についてご紹介します。 何故雲南省で白茶を作るのか 白茶といえば、まず思い浮かぶのは福 …
現地からのレポート:2025年の雲南省のお茶の状況について
3月25日より雲南省に来ております。 こちらには5月まで滞在し、現地でのお茶の生産や流通・品質管理を行います。 本コラムでは、今年2025年のお茶の生育状況、相場観などについてインプレッションを述べたいと思います。 気候 …
長期熟成をした緬境野生茶2014年産を再発売
緬境野生茶 2014(生茶)マレーシア熟成 緬境野生茶 2014は、マレーシアと日本で長期保存をしており、しっかりと熟成が進んだお茶です。 このお茶は数ヶ月間、有酸素で雲南省で保存し、その後無酸素にて追加熟成をしておりま …
自社開発した新製法にて自分たちで仕上げた野生紅を発売
野生紅のロットが2024年産に切り替わりました。 通常であれば特にお知らせすることはありませんが、今回の切り替えには大きな意味があります。 2024年産の野生紅から、私たちが開発した新しい製法を用い、私たち自身の手で作っ …
ミャンマー国境隣接地域産 鎮康古樹熟茶2022 発売
鎮康古樹熟茶2023を発売しました。 普段飲みに適した価格帯のお茶を目指し、非常に僻地の産地から茶葉を仕入れています。 https://hojotea.com/item/d154.htm ミャンマーとの国境を接する鎮康県 …
祁門紅茶の再入荷
暫く品切れになっていた祁門紅茶が入荷しました。 https://hojotea.com/item/b01.htm 祁門紅茶工場産の祁門紅茶 祁門紅茶は安徽省祁門県産の紅茶で、世界的にも知られる銘茶のひとつです。祁門県には …
フルボディの高級熟茶、忙肺古樹熟茶2023 200g餅茶を発売
忙肺古樹熟茶2023を発売しました。当店の熟茶の中でもトップレベルの非常に高品質な熟茶です。 臨滄市永徳県を代表するプアール茶の名産地 忙肺(Mang Fei)は、漢字の意味だけを見ると奇妙な地名ですが、もともと当地の少 …
火地古樹生茶 2022を発売
火地古樹生茶 2022を発売しました。 数年間の熟成を経て、爽やかで透明感のある甘い香りが際立つお茶です。 高山の自然栽培茶園産 火地は私達がお付き合いしている農家が保有する、臨滄市南西部に位置する永德県の標高2100m …

PAGETOP