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  • お茶の品質を決める各種要素

昔帰の茶園
お茶には有名産地があります。どこの国でも有名産地はブランド化しており、有名産地産と言うだけで高額な値段が付きます。例えば、雲南省におけるプーアル生茶の場合、四双版納の老班章や臨滄の昔帰は有名なプーアル茶産地の代表格です。このような超有名なプーアル茶ですが、本物かどうか、どうやって見分けるか分かりますか?私でも100%正確に評価することは出来ませんが、老班章や昔帰のような有名茶に関しては、実際の茶葉を見て香りを評価することで何時の時期に摘まれたお茶で、本当に老班章産かどうかを判断する事は可能です。

重要なのは3つの品質構成要素

その方法を知るには、産地の特徴がお茶のどの部分に反映されるかを知る必要があります。

お茶の品質や個性を形成するのは以下の3要素です。

  1. コク
  2. ボディ
  3. 香りの質

もちろんこの他にも、渋味、苦み、製造上の問題点など様々な評価項目はありますが、取りあえず最も重要な点は上記3つの要素です。

産地を判断するにはボディを知る

これら3つのうち、産地に影響を受けるのは要素、それはボディです。ボディというのは香りと味の横への広がり感です。ボディは日本語ではふくよかさと呼ばれます。
老班章や昔帰が有名になったのは、その強烈なボディと中程度のコクゆえです。ボディの強いお茶は、口の中いっぱいに広がり、香りが強く立ち上るため、大変一般受けしやすいお茶です。お茶はコクが非常に強くても、お茶を余り知らない人にとってはそう魅力的に映りません。反面、ボディの強いお茶は万人に評価されます。
ボディには産地の土質が関係します。栽培方法や樹齢の影響をもろに受けるコクとことなり、ボディは作り方の影響をそれほど受けないと感じております。不思議なことに窒素肥料を与えても与えなくてもボディの強さはそう大きくは変化しません。

ボディに関係するのはアルカリのミネラル

私のこれまでの経験の調査に基づく仮説では、ボディの強さを支配しているのはアルカリ性のミネラルです。例えば、カリウムやカルシウムがそれにあたります。石灰質の土壌で作られた蜜柑、カリウムが豊富な信楽の土でつくられた朝宮茶などはボディが強く感じられます。

昔帰の茶園と後ろに見えるメコン川:メコン川によって運ばれた肥沃な土壌が昔帰のお茶のボディに寄与している。

栽培方法が反映されるのはコク

では、コクは何と関係するかというと、お茶をどう栽培するかという点がコクに影響をします。特に窒素肥料を与えるか、有機栽培で作るか、自然栽培で作るかと言う点は、コクに大きな変化をもたらします。また、お茶の木の樹齢はお茶のコクとは密接な関係があります。もちろん、土質もコクには関係します。例えば、赤土中心の鉄分の多い土壌はお茶のコクを強くします。ただコクはそれ以上に栽培方法の影響を受けるため、コク単独で産地を予測するのは困難です。私もコクを産地評価の指標とすることがありますが、それはコクとボディの組み合わせで判断します。

製茶技術と品種が反映するのは香り

香りの質についてですが、私が知る限り、これは製茶方法とお茶の品種の影響を受けます。プーアル茶でも、萎凋時間、釜炒りの技術、揉んだお茶を即天日乾燥するか、翌日乾燥するか等々が香りへ影響します。また、プーアル茶の産地に自生するお茶は、日本で言う在来種であり、様々な品種の混合種です。同じ地域であっても、茶園により、或いは、同じ茶園でも木によってお茶の香りが異なります。つまり、香りについては産地を評価する上ではあまり役に立ちません。ただし、鳳凰単叢烏龍のような銘茶になると、製茶技術の傾向から大体の出所を判断する事はできます。

産地の同定をするためには各産地の味を記憶しておくことが必須

例えば「これは老班章です」と言って出されたお茶が本当に老班章産かどうか見極めるためには、そのお茶の味を既に記憶している必要があります。味と言っても、漠然とした味ではなく、各要素ごとに客観的に味を記憶する必要があります。過去に本物の老班章のお茶を飲んだ事があり、ボディの強さについて明確に覚えていれば、老班章を見分けることはそう難しくありません。「これは本物の老班章ですよ」と言って出されたお茶が、ボディの弱いお茶だった場合、とうぜん産地を疑います。

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