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武夷山に今も存在する2つのラプサンスーチョン
ラプサンスーチョン(正山小種)といえば、イギリスの紅茶ブームの火付け役でもあり、紅茶に関わる多くの人の興味の中心となるお茶だと思います。ラプサンスーチョンと聞くと、正露丸のような香りがするお茶のイメージがありますが、実際にはいろんな種類が存在します。もっとも高級なグレードになると、甘いフルーツの香りがし、煙の香りはしません。ただし、煙の香りがするタイプも桐木村で製造されており、今ではどちらのタイプも伝統的なラプサンスーチョンとして認知されているのが現状です。
一般的に知られているラプサンスーチョン
一般的な知識として、松の木を燃やして茶葉を急速に乾燥したのがラプサンスーチョンが開発されたきっかけと書かれております。事実、ラプサンスーチョンには独特の煙臭さがします。松の木を燃やす際に発生する松の精油分が茶葉に染みこむためです。ただし、上手に作られたラプサンスーチョンの場合、ただ煙臭いだけではなく、同時に乾燥ナツメのような甘い香りがし、お茶をいれたあとの茶殻はオレンジ色をしております。
ただ、不思議に思いませんか?
なぜ、煙臭い、ラプサンスーチョンがイギリスの王室でもてはやされ、女王にも愛飲されたのでしょう?
まるでフルーツのような香りのラプサンスーチョン
上記疑問への回答ですが、実際に武夷山の桐木村を訪ねると、煙臭いタイプのラプサンスーチョンに加え、フルーツのような甘い香りがするタイプも存在します。武夷山桐木村の生産者にとってはどちらも「伝統的な」ラプサンスーチョンなのです。フルーツの香りがするタイプは、甘い蜜のような香り、乾燥フルーツのような香り、花の香りに加え、文字通り乾燥龍眼のような香りがします。一番最初の時点でイギリス王室を虜にしたラプサンスーチョンというのは、おそらくこのタイプだったのだろうと推察されます。
煙の香りがするお茶が作られるようになったのは1800年以降
実際、中国におけるお茶の専門書や桐木村の生産者からの情報によると、煙の香りをつけるようになったのはかなり後期の事であり、この方法はラプサンスーチョンの需要が拡大した1800年以降に発展したと考えられます。その証拠に、1800年代にラプサンスーチョンの代替として開発されたキームン紅茶の高級グレードになると、松の香りはせず、代わりにフルーツの香りがします。特にキームンの特貢グレードになると、フルーツ香のするラプサンスーチョンとかなり近い香りがします。もし当時から松を燃やす製法がとられていたとすると、ラプサンスーチョンの代替えとして開発されたキームン紅茶も、同じく正露丸のような強い煙香がするはずです。
もともと工夫烏龍茶の製法から派生したラプサンスーチョンの製法
桐木村で1800年以前から続いている紅茶の製法では、発酵・乾燥した荒茶を100℃以下の低い温度で長い時間炭焙します。低い温度で熱を加え続けることで熟成香であるフルーツの香りが形成されます。原理的には鳳凰単叢烏龍や武夷烏龍の作り方と全く同じで、特徴的なフルーツの香りは低温長時間の炭焙技術により作り上げられます。
2種類のラプサンスーチョンを発売
今回、2種類のラプサンスーチョンを発売しました。何れも本物にこだわり、桐木村産の原料のみを仕入れました。
- 正山小種
- 正山小種 小赤甘
正山小種の名称の商品は、一般的な煙の香りがするタイプです。尚、正山小種小赤甘については、龍眼のような甘いフルーツの香りがするタイプです。
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