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1本の老木のみから作られた単株プーアル茶
- [2017.04.23] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
特定の老木1本のみから作られたプーアル茶を仕入れました。特定のの木のみから回収したお茶の事を中国では「単株茶」と呼びます。満足できる単株茶を探すため、数週間の時間をかけて調査を行い、仕入を行いました。
巨大な老木から作られる単株プーアル茶
単株プーアル茶とは特定の一本のお茶の木のみから作られたお茶の事です。茶園に無数にあるお茶の木を1本を適当に選んでも、単株茶と呼べないことはありませんが、常識的には通常老木を選んで単株プーアル茶を作ります。単株プーアル茶というプレミア付きで販売しておきながら、品質が他のお茶と大差なかった場合、販売者の評判が落ちます。私にとって重要なのは木の樹齢云々以上に、単株でしか味わえないような特別な味わいのお茶を紹介することです。それだけに、老木の選定と、最終的な品質の確認作業は注意深く時間をかけておこないました。
一本の木のみから作られるからこそ得られる凄い味
通常、100kgのお茶を作ろうと思った場合、400kgの生茶葉が必要になります。茶園は日向もあれば、日陰もあり、樹齢、お茶の成長の具合も木によって様々です。各木から摘まれるお茶は香りの点、茶葉のサイズ、形状、味の奥行き、ボディ等、1つとして同じではありません。通常、まとまった量のお茶を作る場合、様々な形質のお茶をまとめて集めることから、各種個性が平準化され、製品化されます。但し、単株プーアル茶の場合、一本の木のみから作られるため、その木の個性がストレートに反映されます。理想的な生育条件の単株茶の場合、これまでの常識では考えられないレベルの「味」が楽しめるのが、単株茶の面白さです。
単株プーアル茶を作る上で大事なのは、お茶の木ごとの正確なバッチ管理です。私のお付き合いのある数社のうち、バッチ管理において信頼できる生産者に単株茶の生産を依頼しました。全ての工程において、タグを付けることで、お茶が混ざらないように管理しました。
老木なら良いと言うわけではありません
雲南省全域において、樹齢が非常に高い木から摘まれたお茶を欲しがる人は非常に多く、ゆえに老木から作られた単株プーアル茶は高い値段で取引されます。しかしながら、樹齢が高ければよいと言うわけではありません。そもそも本来、なぜ老木が良いかと言うと、高樹齢の木は非常に成長が遅く、同じ条件下であれば、若い木よりも2-3週間遅れて茶葉が摘まれます。ゆっくり成長することで、ミネラルを初め、ポリフェノールが豊富に含まれ、余韻(喉越し、コク、味の奥行き、後味)が信じられないほどに長いお茶になります。下の写真は、典型的な肥料栽培の老木です。肥料が入っているお茶は地面に草が全く生えていないため、一目瞭然です。
最近の雲南省では老木のお茶は高需要によって普通のお茶よりも高く売れることから、農家では老木にはより肥料を与え、収穫量を増やそうとする取り組みが一般化しております。私が農家やお茶の生産地を訪問すると、その人の自慢の老木を見せてくれますが、95%以上の老木は肥料が過剰に入っており、老木にもかかわらず、樹齢の若いお茶の木と同じタイミングで収穫が行われております。実際、肥料栽培の老木は茶葉が非常に大きく、深い緑色になり、お茶を摘むと非常に脆く、簡単にポキポキと折れます。また、渋みと苦みが非常に強く、余韻は殆ど有りません。このような老木は老木としての価値が全くないわけですが、お茶の品質評価の出来ない人にとっては、樹齢が高いと言うだけで価値があると勘違いして高いお金を支払います。このような状況から、「品質の低い老木」が年々増えております。以前のコラムで、「減り行く自然栽培茶」について説明しましたが、老木に関しては物凄い速度で肥料栽培化が進んでおります。
野放単株茶を厳選
私は無農薬無肥料を前提条件として単株茶を選んでおります。殆ど人の手がかかってない状態のお茶は野放茶と呼ばれており、このようなお茶から作られる単株プーアル茶は野放単株茶と呼ばれます。老木な上に無肥料であることからお茶は極めて成長が遅く、その結果、余韻が非常に長く、甘味が口に残り、透明感のある香りがする茶になります。感覚が鋭い人にとっては、味の印象が非常に強く感じられ、お茶の液体が体の奥深くに染み入るかのような感覚がします。私は今回多くの山を歩き回り、茶園の状況、お茶の生育具合、木の樹齢、日当たりの状況などを一つ一つチェックして歩きわり、自然の状態で生育しており、農薬はもちろん、有機肥料さえ与えられていない老木に的を絞り、仕入を行いました。複数の野放単株茶を仕入れましたが、数量が非常に限られておりますゆえ、予約販売限定で散茶(毛茶)を販売する予定です。
単株茶は毛茶の状態で販売するのが一般的
尚、本場雲南省では単株プーアル茶は毛茶の状態で販売されるのが一般的です。最大の理由は、毛茶(散茶)の状態だからこそ茶葉一つ一つの形状を観察することが出来ます。
単株茶は1本の木のみから収穫されているため、どの茶葉も形質が同じである点が特徴です。また、巨大な老木でも1本の木あたり最大で約5kgと、非常に少量で稀少なお茶ゆえに、緊圧した場合、取り扱いミスの可能性が上がります。私は単株プーアル茶を仕入れたら、即、包装し、封をしてしまい、そのまま発送することで、自分が購入したお茶を確実に入手できるよう段取りしております。
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