ダージリンティは独特の香りがあり、この香りゆえに多くのファンを有します。このダージリン紅茶特有の香りですが、製法が深く関係しております。言い換えるなら、同じような製法で作れば、他の地域産のお茶でもダージリンティに近い香りに仕上げる事が可能です。

他の紅茶にないダージリンの華やかで甘い香り

ダージリンの香りというと、特徴的なフローラルで蜜のような華やかで甘い香りです。春摘みのファーストフラッシュは爽やかな花のような香り、秋摘みのオータムナルはフルーツのような蜜のような香りがします。インドのダージリン関係者からは、ダージリンの香りはダージリンの環境、標高、茶葉が作り上げていると説明を受けることが一般的です。確かに、ダージリンにある特注のお茶品種やその亜種も少なからず、香りの傾向に寄与しているのも確かです。また、高い標高においては、お茶の成長がゆっくりとなる事から、ミネラルとポリフェノールが豊富に含まれ、その結果、より濃厚な香りを創り出します。ただ、これらの要素だけでは、ダージリンの香りを説明するには不十分です。

ダージリンの特有の香りは萎凋が深く関係する

私の経験上、ダージリンティの華やかな香りはダージリン特有の萎凋方法に起因すると考えております。萎凋とはお茶の葉を徐々に萎れさせることで、茶葉に含まれる酵素(酸化酵素)を脱水ストレスによって活性化し、微発酵を行う工程です。微発酵により、茶葉は甘い、花や、フルーツのような香りを形成します。中国の紅茶の場合、竹のザルやござに茶葉を薄く広げ、日陰にて自然に萎凋を行う方法が一般的ですが、ダージリンの場合、萎凋を、萎凋層という、底面から風が出るボックス内で行います。ダージリンでは常に風を送り続けることで、効率的に萎凋を促進し、非常に華やかな香りを引き出しております。

例えダージリンと同じ萎凋をしても発酵止めにより香りが大きく左右される

紅茶作りをする上でもう一つ重要な工程は、発酵を熱によって止める工程です。温度を正確に管理しなかった場合、加熱によって、酵素が過度に活性化し、発酵が行き過ぎてしまいます。比較的多くの日本製の紅茶が蒸れ臭がするのはこの為です。例え、萎凋が理想的に制御できていたとしても、その後の発酵止めを正確に行わなかった場合、華やかな香りを享受することはできません。これは烏龍茶の生産においても同じで、非常に手間をかけて、萎凋や発酵を行っても、発酵止め(殺青)が正確に管理できてない場合、花やフルーツの香りに蒸れ臭や雑味を伴います。ダージリンの華やかな香りを引き出すには、重点的な萎凋と正確な発酵止めの両技術が必要となります。

重点的な萎凋+雲南省の自然栽培茶で紅茶をつくりたいという願望

私は過去8年間毎年1ヶ月程雲南省に滞在し、原料選定をし、お茶の特注生産をしています。近年ではノウハウが蓄積され、無肥料無農薬の自然栽培茶による非常に良い原料を入手できるようになりました。そこで、雲南省産の良い原料を使い、ダージリンに準ずるような華やな香り紅茶作ってみたいと考えております。

私が普段仕入れを行っている自然栽培茶園の場合、平均的な標高が2000-2200mあり、ダージリンの最も高い茶園とほぼ同じです。「だったら、わざわざ雲南省のお茶でつくらずとも、ダージリンティで十分だ」と思われるかも知れませんが、雲南省の自然栽培茶を使うことには大きな意味があります。樹齢が100歳以上の、肥料も農薬は勿論、人の手を全く手を加えず、放置された自然栽培茶の場合、原料の質が比にならないレベルで優れております。現在雲南省でつくられている、伝統的な雲南紅茶は、萎凋を短く軽めに行い、深めに発酵する製法が特徴です。それはそれでとても美味しいお茶なのですが、私は、雲南省の自然栽培茶を原料に、48時間くらいしっかりと萎凋を行い、軽めに発酵させ、更に、必要であれば、昔の正山小種のようにベイキングによりフルーツの香りを高めたお茶を作ってみたいと考えております。生産者が何処まで私のわがままを聞いてくれるか、色々交渉せねばなりません。

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