自然栽培プーアル生茶、烏木龍古樹生茶2018を販売開始

[2018.12.05] Written By

烏木龍古樹生茶(ウームーロンこじゅなまちゃ) 2018を発売しました。このお茶は2018年産のプーアル茶の中でも特に沢山の時間と手間をかけて作り上げたこだわりの商品です。何回も生産者の村へと足を運び、試作を繰り返したお茶なだけに非常に思い入れの強いお茶です。

烏木龍とは臨滄の大雪山近くに位置する村の名称です。Google Mapでも出てきますので興味のある方は見てみてください。烏木龍はイー族を中心とする少数民族の村です。烏木龍の村中心部付近には巨大な茶園があり、緑茶やCTC紅茶などが生産されております。この事から、雲南省の人は烏木龍と聞くと、紅茶や緑茶を連想しがちですが、村の中心部から外れて山間へと入ると、樹齢の古い老木のお茶の木も見られます。近隣の街から距離がある村ゆえに、昔ながらの、全く手をかけない自然栽培の作り方の茶園が幾つか存在しており、中にはワクワクするほどに全く手つかずで自然の状態の茶園も見つけることが出来ます。烏木龍古樹生茶の原料には、その中でも特に樹齢の高い茶園の一番茶を選びました。茶園は2200-2300mと非常に標高が高く、台湾の梨山茶並みの標高です。高山、老木、自然栽培の三拍子が揃っているため、茶葉の質が素晴らしく良く、喉の奥に吸い込まれるような強烈なコクが感じられるお茶です。

烏木龍の中心部

長時間萎凋と低温殺青により豊かなな香りのお茶を生産

私がプーアル茶を仕入れる際は、工場を訪問して既製のお茶を仕入れるのではなく、完全オーダーメイドにて生産者と共に作り上げる形をとっております。原料の選定、作り方の各種条件を指定し、特注にて仕上げます。近年では懇意にしている生産者が自由に工場を使わせてくれるため、自分でも試作に携わり、生産工程の条件設定、作り方の改善など、より踏み込んでお茶作りに係わっております。
プーアル茶の生産工程の中で香りに影響する工程は、萎凋と殺青(釜炒り)の2工程です。この2つの工程をどう制御するかによって、同じお茶とは思えないレベルで味も香りも変化します。

12時間以上萎凋することで香り豊かなお茶に

萎凋とは風通しのよい日陰に茶葉を広げ、時間をかけてゆっくりと水分を蒸発させる工程です。茶葉の水分が蒸発することで、脱水ストレスにより茶葉に含まれる酵素が発酵します。萎凋を重点的に行う代表的なお茶は、紅茶、白茶、烏龍茶です。これらのお茶の香りが強いのは、萎凋がしっかりと行われているためです。実際、プーアル茶の生産者も、萎凋は長い方が良いと言う点は皆理解しています。しかしながら、近年では労働力の確保が難しくなっていることから、多くの生産工場では数時間(2-3時間)の萎凋が一般化しております。また、長く萎凋したお茶は水分が低くなるため、釜炒りが難しく、普段と同じやり方で殺青をしたのでは焦げてしまいます。残念ながら、概して萎凋茶の殺青方法を習得していない生産者が多く、それゆえに多くの生産者が長時間萎凋をやりたがりません。私が烏木龍古樹生茶を生産した際は、12時間しっかりと萎凋を行うことを徹底しました。翌朝、萎凋中のお茶の脇を通り過ぎるだけでお花畑のような香りがしておりました。今年発売した劉家古樹生茶2018を試された方は既に体験済みかと思いますが、萎凋をしたお茶は香りが豊に感じられます。今年発売した劉家古樹生茶2018は非常に人気があり、発売後2ヶ月程度で売り切れてしまいました。

低温殺青をすることで微発酵を

熱を加えることで茶葉の酵素を失活させる作業は「殺青」と呼ばれ、プーアル茶の個性を形作る上で非常に重要な工程です。プーアル茶の殺青は釜炒りで行われますが、プーアル茶の香りと味は、釜炒りの方法、特に温度管理によって、全く別のお茶と思うほどに変化します。例えば、高温短時間で殺青を行った場合、緑茶に近くなります。花のような香りが形成され、透明感のある味に加え、渋みや苦みがシャープに感じられます。また、高温殺青されたお茶は乾燥茶葉自体から非常にフローラルな香りがします。高温殺青の代表格である「緑茶」、例えば日本茶の茶葉が花のような甘い香りを放つのもこの為です。逆に、低温長時間で殺青を行った場合、加熱温度が低めであることから、殺青中に茶葉に含まれる酵素が僅かに発酵し、それによって、烏龍茶のようなフルーツの香りが形成されます。ただ、低温殺青は、作業が長時間になる点、火加減を細かく管理しなければならない等、釜炒りの際にはより高い技術が求められます。為、低温殺青を採用する生産者は非常に少なく、近年では多くの生産者が高温殺青でプーアル茶の生産を行っております。

生産者と共に低温殺青の技術を開発

前述したとおり、雲南省では高温殺青が一般的で、低温殺青をやっている生産者は殆どおりません。そこで、私が信頼している生産者に低温殺青の技術を習得して貰う事にしました。まず、私が理想とする方法でお茶を殺青してサンプルを作り、それを元に生産者に火の燃やし方、温度、殺青方法などを細かく指導しました。低温殺青と言っても、温度が低すぎると、発酵が過剰に進むため、正確な温度管理が必要となります。実際、低温殺青のやり方は高温殺青のそれとはかなり異なるため、生産者も慣れておらず、作業条件を安定化するのには想像以上に長い時間を要しました。1週間に数日のペースで生産者の元を訪れては、殺青方法の確認、前日に作ったお茶の評価、問題点の共有などを繰り返しました。結果、数週間かけてようやく低温殺青の安定生産が出来るようになりました。

長時間の萎凋と低温殺青で作られたプーアル茶は茶葉内面が微発酵していることから全体に濃い(暗めの)色合いをしております。これは緑茶が明るい緑色をしているのに対して烏龍茶の茶葉が深緑や黒い色をしているのと同じ理由です。ただし、お茶をいれたときの水色は非常に明るい薄黄色をしており、クリアーです。

このお茶は渋味と苦味が全くないお茶です。したがって、お子さんにとっても非常に飲みやすいお茶です。私はプーアル生茶を飲む際は、個人的に熟成する前の若い状態のお茶が好きです。しかし、勿論、熟成させたいという人にも強くお勧めします。本商品は萎凋と低温殺青によってお茶が微発酵茶に仕上がっていることから、熟成が一般のプーアル茶よりも早く進むことが予想されます。長時間の萎凋と低温での殺青を組み合わせることで、口当たりが非常にやわらかく、豊かな味わいに仕上がっております。原料の質、製法とも妥協無く作り上げた自信作ですのでプーアル茶が好きな方には是非試していただきたいお茶です。

HOJOパッケージ
お買い物の合計が5,000円以上で送料無料!お支払い・送料について >>

袋小(固まりを小分けして袋詰め):50g / 価格 1,500円(税抜き)
クリックして買い物カゴへ

餅茶1個:357g / 価格 9,800円(税抜き)クリックして買い物カゴへ

お値打ちパック:1071g(餅茶357gを3個) / 価格23,500円(税抜き)

クリックして買い物カゴへ

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

この記事に関連するHOJO Teaの商品


関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

火地古樹生茶 2022を発売
火地古樹生茶 2022を発売しました。 数年間の熟成を経て、爽やかで透明感のある甘い香りが際立つお茶です。 高山の自然栽培茶園産 火地は私達がお付き合いしている農家が保有する、臨滄市南西部に位置する永德県の標高2100m …
東山生茶 2024の散茶を発売
東山生茶 2024の散茶を発売しました。実は、東山の散茶を販売するのは今回が初めてです。 https://hojotea.com/item/d63.htm 雲南省臨滄市鎮康県の高山地帯で収穫された老樹茶 東山生茶2024 …

最新の記事 NEW ARTICLES

火地古樹生茶 2022を発売
火地古樹生茶 2022を発売しました。 数年間の熟成を経て、爽やかで透明感のある甘い香りが際立つお茶です。 高山の自然栽培茶園産 火地は私達がお付き合いしている農家が保有する、臨滄市南西部に位置する永德県の標高2100m …
東山生茶 2024の散茶を発売
東山生茶 2024の散茶を発売しました。実は、東山の散茶を販売するのは今回が初めてです。 https://hojotea.com/item/d63.htm 雲南省臨滄市鎮康県の高山地帯で収穫された老樹茶 東山生茶2024 …
なぜお茶は渋いのか?渋味の原因と仕組みを紐解く
お茶には渋味を全く感じないものもあれば、非常に強い渋味を持つものもあります。では、この渋味の原因は何なのでしょうか?ここでは、渋味の原因とそのメカニズムについて解説します。 渋味の原因 渋味は、お茶の成分が口腔内のタンパ …
鳳凰単叢老欉蜜蘭香 2023を発売
鳳凰単叢老欉蜜蘭香2023を発売しました。 https://hojotea.com/item/houou.htm 鳳凰単叢は広東省潮州市を代表する烏龍茶で、老欉は樹齢の高い茶樹から収穫された茶葉を使ったお茶を指します。 …
湯を沸かす熱源によって変わるお茶の味香り
お茶を淹れる際に使うお湯ですが、やかんの材質によってお湯の味が変わることはよく知られておりますが、実は、やかんの材質以外に、湯を沸かす熱源の種類によっても味が大きく変化することをご存じでしょうか? 同じヤカンでも、熱源に …
棠梨山古樹熟茶2023を発売
棠梨山古樹熟茶2023年(とくりさん)を発売しました。 https://hojotea.com/item/d155.htm 棠梨山は中国語でTan Li Shanと発音し、永徳県の中心地である徳党鎮の北側斜面に位置する山 …
東山生茶・白毫銀針・茉莉銀針の3種類のお茶を発売
東山生茶2023、白毫銀針、茉莉銀針の3種類のお茶を発売しました。 東山生茶2023 https://hojotea.com/item/d63.htm 東山生茶2023を発売しました。東山生茶は当店でも非常に人気の高いお …
大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm   雲南省でも入 …
佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm   野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …

PAGETOP