プーアル茶というと、発酵茶の代表格のように各書籍には書かれております。
プーアル茶は分類的には、黒茶に分類されることから、後発酵茶と定義されている事が一般的です。

しかし、プーアル茶と言ってもプーアル生茶とプーアル熟茶の2種類があります。

どちらもプーアルという名称が付きますが、「生茶」と「熟茶」では全く異なる種類になります。

熟茶は微生物を利用した後発酵で作られるお茶なので、疑いの余地のない発酵茶です。

それに対して、生茶は茶葉が緑色をしており、製茶工程でも発酵工程がありません。

実際のところ生茶は発酵茶なのでしょうか?

プーアル茶と言うと茶色いお茶を連想される人が多いと思いますが、中国ではプーアル茶と言えば、プーアル生茶を指します。


プーアル生茶

プーアル生茶の茶殻(上) プーアル熟茶(下)

生茶は800年近い歴史を有するのに対して、茶色い色をしたプーアル熟茶は1970年代に製法が開発された非常に新しい種類のお茶です。

熱烈なマニア達がプアール茶沼にはまったりするお茶こそ、プアール生茶です。
私自身、プーアル生茶の魅力に見せられ、コロナ前は毎年1ヶ月以上産地に滞在してはお茶作りに関わってきました。

プーアル生茶の製茶工程は緑茶と基本同じ

プーアル生茶は緑茶と基本同じ生産工程を経て作られます。

 

緑茶

生の茶葉 → (萎凋)→ 殺青(熱で酵素を止める)→ 揉捻(茶葉を揉む)→ 乾燥

プーアル生茶

生の茶葉 → (萎凋)→ 殺青(熱で酵素を止める)→ 揉捻(茶葉を揉む)→ 天日乾燥

 

上の製茶工程を見ると、プアール生茶は基本緑茶と製法が変わりません。

この工程の中で、萎凋は酵素発酵を促す工程です。
萎凋とは、風通しのよいところで、お茶の葉を萎びさせる工程で、脱水により花のような香りが形成されます。
一般的に、プーアル茶の萎凋は6時間〜12時間行われます。

しかしながら、緑茶でも軽い萎凋工程は比較的一般的なので、それを言うなら、緑茶も発酵茶という話になってしまいます。

プーアル生茶の殺青工程における微発酵

緑茶は200℃〜260℃の高温で釜炒りを行うことで、鉄板の熱で直接加熱処理をします。

それに対して、プーアル生茶は、殺青温度が非常に低い点が特徴です。

プーアル茶は腕の良い人は160℃位の低温で殺青をし、腕の悪い人は180℃位の高温で行います。

低温で殺青する場合、段階的に火力を調整する必要があり、また、攪拌(茶葉の反転)の仕方も、温度帯によってやり方を変える等、より高度な技術が求められます。

緑茶は少量の茶葉を釜に投入し、高温短時間で殺青するのに対し、プーアル茶は大量の茶葉を投入し、時間をかけて殺青を行います。

プーアル茶の殺青は、同じ釜炒りでも緑茶とコンセプトが異なります。
高温に熱した釜からの直熱で一気に茶葉を加熱し、酵素を失活させる緑茶に対して、プーアル生茶は茶葉から蒸気を引き出し、茶葉自身から発生した蒸気で殺青を行います。

この為、緑茶のように殺青が一瞬で行われるわけではなく、暫く時間がかかります。

茶葉から蒸気を引き出すまでの間、タイムラグがあり、その間に、酵素が発酵をします。

但し、殺青温度が高い場合、殺青が短時間で行われるため、限りなく緑茶に近いプーアル生茶になり、茶葉は殆ど発酵してません。

殺青中の発酵も、発酵と言えば発酵ですが、これは知る人ぞ知る、非常にテクニカルなレベルでの酵素発酵であり、これを持って発酵茶と呼ぶべきかというとやや微妙です。

発酵茶かどうか判断が難しいプーアル生茶

上の製茶工程を考慮するとプーアル生茶の生産には萎凋と殺青の段階で発酵の要素があることは確かです。

ただ、このレベルの発酵は緑茶の生産にも一部共通するため、発酵茶と分類すべきかというと、微妙です。

おそらく、初期にプーアル生茶を発酵茶や黒茶と定義した学者は、長期保存されて熟成したプーアル生茶を見て、後発酵茶と混同したのではないでしょうか?因みに、熟成は酸化反応であり、発酵ではありません。

最初に発酵茶としまったために、そのまま既成事実化し今に至っていると推察しております。

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