- ホーム >
- お茶の種類
雑草雑木も完全放置主義の鳳凰山茶園
- [2010.09.23] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
鳳凰烏龍茶が老木から作られるとこれまで紹介してきましたが、全てのお茶が老木から作られるわけではありません。
老木から作られるお茶は、全体の数パーセントにしか過ぎず、残りは、鳳凰山の麓の茶園や、鳳凰山以外の地域で作られたお茶から作られます。
老木から作られたお茶と、そうでないお茶は飲めばその違いは飲めば明確に分かります。老木から作られたお茶の場合、非常に強い喉越しが感じられ、お茶を飲んだ際、口元だけでなく喉の奥で味を感じることが出来ます。香りに関しても、鼻から抜ける軽い香りではなく、質量があり喉の深い位置で香りが感じられます。通常老木でなくとも、高山で作られたお茶は、喉越しが強くなる傾向にありますが、鳳凰山の場合、高山帯(1000-1400m)は老木で占められており、若いお茶の木は殆ど存在しません。宋の時代に、山の高い場所に優先的にお茶の木が植えられた事から、老木=高山、若い木=低地という位置関係にあります。
もう一点、鳳凰山のお茶は特徴的な方法で作られます。
前回のブログで、鳳凰山のお茶は「完全放置栽培」と説明しましたが、実は「放置栽培」なのはお茶だけではありません。
お茶の木の周りに生えている、「山の木」も放置されております。1400mと言えば、美ヶ原や霧ヶ峰高原のように高原地帯であり、各種の灌木が自生しております。
当然これらの灌木を切り落とした方が、お茶の木からすると、「快適」になるわけですが、鳳凰山ではこれら雑木を決して切り落としたりしません。
実はこれには重要な理由があります。
自然に自生している木は、お茶と同様に老木化しておりミネラルの吸収能が高く、葉には高濃度のミネラルが含まれます。
これらの葉が落葉した際、葉は微生物により分解されますが、含まれていたミネラルは、お茶の木によって吸収されます。
つまり、周辺にある自然の木は、お茶に木にミネラルを与える役割をしております。中国では、自然の木を茶園に自生させるという技術は古くから用いられており、本技術は、プーアル茶、君山銀針、龍井茶、碧螺春の茶園でも見られます。但し、雑草・雑木に一切手を入れずに、完全放置しているのは、私がこれまで見た中では、鳳凰山と雲南省のプーアルくらいです。
この考え方は、玉露の作り方にも通じます。玉露でも、本玉露と呼ばれる玉露の場合、プラスチック製の寒冷紗ではなく、藁で被覆が行われます。
藁には豊かなミネラルが含まれているため、雨が降ると、ミネラル分が地面に流れ落ち、それが玉露の木によって再吸収されます。
このため、本玉露の美味しさは、寒冷紗で被覆した一般的な玉露とは比較になりません。私の父(リンゴ農家)曰く、藁をりんご園の地面(木の回り)に敷き詰めると、リンゴの味が改善されるそうです。
リンゴの場合、藁以外にもリンゴの木の周辺に生えた雑草を刈り取り、木の回りに敷き詰めることで、リンゴのミネラル分を高めるという技術が用いられます。因みに、冬期に地面をトラクターで起こしてしまった場合、雑草の根が死んでしまうため、翌年に生えてくる雑草に含まれるミネラル分は少なくなります。ふと思ったのですが、山の落ち葉を集めてきてリンゴの木の回りに敷きつめたら、更に美味しい味になるかもしれません。非常に興味深いテーマです。
中心にある大きな木はお茶の木です。木の周りは、笹や灌木で覆われており、望遠レンズで撮影するのがやっとでした。
本写真は未だ植えられて10年と経っていない若いお茶の木です。お茶の木が覆われてしまうほどに雑草が生えております。但し、このような環境が素晴らしいお茶を生み出します。勿論、言うまでもなく有機栽培です。
1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!
- メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
- メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
- 佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
- 野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
最新の記事 NEW ARTICLES
- 大雪山野生茶(生茶)2023年・2024年産 同時発売
- 大雪山野生生茶の2023年産と2024年産を発売しました。 2023年産については、マレーシアの倉庫で1年間熟成しております。 https://hojotea.com/item/d27.htm 雲南省でも入 …
- 佐渡無名異焼作家の渡辺陶三作:野坂粗土還元急須が入荷
- 野坂粗土還元焼成の茶器を発売しました。 今回入荷したモデルは、茶壺(後手急須)、フリーカップ、マグカップの3点です。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka_reduction.htm …
- 佐渡島の渡辺陶三製作:野坂粗土酸化焼成の茶器が入荷
- 佐渡島の陶芸家、渡辺陶三氏による「野坂粗土酸化焼成」の茶器を発売いたしました。 https://hojotea.com/item/tozo_nosaka.htm 野坂は佐渡島の沢根にある地区名で、相川金山に …
- 2300mの野放茶園産、高山白茶を発売
- 高山白茶を発売しました。 このお茶の茶園には、次の2つの特徴があります。 1. 標高2200-2300mに位置する茶園 2. 完全に野生化したお茶の木で構成される野放茶園 非常に理想的な環境ゆえに、お茶の品質も素晴らしく …
- 標高2100mの無農薬・無肥料茶園産の高山紫茶2024
- 2024年産の高山紫茶を2種類発売しました。 https://hojotea.com/item/d53.htm 2種類とも、同じ生産者が同じ地域内に保有する茶園の茶葉ですが、茶園の位置が異なり、また、生産日も異なります。 …
- 大雪山野生茶(普洱生茶)2024の散茶を限定発売
- 大雪山野生茶は、雲南省臨滄市永徳県の大雪山に自生する野生のカメリアタリエンシスから作られたプーアル生茶です。 野生茶とは 野生茶とは、樹齢が高いお茶や野生化したお茶ではなく、山に自生している天然のお茶を指します。 過去に …
- 鳳凰単叢烏龍茶の産地、潮州市鳳凰鎮を訪問(2024)
- 先月、鳳凰単叢烏龍茶の産地である潮州市鳳凰鎮へ、仕入れと生産者との打ち合わせを兼ねて出張しました。ちょうど台風の時期と重なり、山から潮州に戻れなくなるなどのハプニングもありましたが、無事に仕入れを終えました。鳳凰鎮にはこ …
- 前川淳蔵作の伊賀天然朱泥急須、宝瓶各種入荷
- 前川淳蔵作の伊賀天然朱泥の茶器が入荷しました。 今回入荷したのは、丸型宝瓶、急須、絞り出し、茶海です。 https://hojotea.com/item/maekawa_iga.htm 数百年前に古琵琶湖の湖底に沈殿した …
- 佐渡島:渡辺陶三作、無名異上赤茶壺と宝瓶が入荷
- 渡辺陶三氏作の無名異常赤急須および宝瓶が入荷しました。今回の入荷品は、後手タイプが中心です。 https://hojotea.com/item/tozo_joaka.htm 非常に稀少な上赤 「上赤」は、佐渡島の相川金山 …
- 非常に稀少な野生茶、永徳野生白茶2024を発売
- 永徳野生白茶を発売しました。このお茶は2021年に一度発売されましたが、瞬く間に売り切れ、その後の入荷はありませんでした。質が高く、個性的な香りで当店でも非常に人気の高いお茶です。 永徳野生茶は、雲南省臨滄市永徳県で、牛 …
- HOJO通販新着
- 特集
- メールマガジンバックナンバー
- お茶の種類
- お茶の産地
- 茶器・急須
- お茶のコラム-雑学-歴史-文化
- お茶を楽しむ
- お茶の作り方-製法
- お茶の品質を決める各種要素
- お茶の成分と効能
- お茶の安心と安全
- 食品
- お茶ビジネスの運営・記録
- 趣味活動
- お茶のランキング-おすすめ
- お茶に関する動画
- お茶に関するQ&A
- メディア掲載
- an anにてジャスミンパールが紹介されました。
- an an 「マガジンハウス出版」 No.1865、2013年7月24日号「夏のお取り寄せ」特集で弊社のジャスミンパールが紹介されました。
- マレーシアの全国紙 “Star Newspaper”に掲載して貰いました。
- 先日、マレーシアの全国紙「Star Newspaper」でHOJOの特集をしてくれました。 Starはマレーシアで最も購読数の多い新聞で、マレーシアのメディアでは最も影響力の大きな新聞です。 新聞の内容は、茶器によりお茶 …
住所:Lot No. T-215, 3rd Floor, Mid Valley City, Lingkaran Syed Putra 59200 Kuala Lumpur