臨滄のお茶を多少知っている人であれば聞いたことのある地域に、冰島と昔帰があります。
「昔帰」が臨滄におけるプーアル茶の王様なら、冰島は女王と言われており、昔帰の方が冰島よりも更に高額の値段が付きます。

メコン川流域の昔帰

昔帰は、メコン川流域に発達した村で標高は1000m程、土は黄色系の粘度土で、お茶の木は無肥料に近い形で栽培されております。
昨年、私は昔帰を訪れましたのでその写真を紹介します。
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後ろに見えるのがメコン川
昔帰のお茶は非常に強いボディが特徴です。土にカルシウムが多く含まれるためか、昔帰のお茶は非常にふくよかで豊かな香りと味が感じられます。
今回、臨滄地区の様々な場所を訪れましたが、どこへ行っても今年は値段が今年は高いという話を聞かされました。
今年の雲南省は激しい干ばつで、お茶の生産量が激減し、見た目も例年と比べると良くありません。
反面、品質は例年になく良く、生産量の少なさから値段も高騰しております。
特に、冰島や昔帰のような有名産地になるほど、値段への影響は大きく、冰島と昔帰のお茶が猛烈に高いというニュースはあちこちで聞きました。

氷島の産地

冰島古樹生茶は私の2011年のラインアップの中では大変人気のあるお茶で、マレーシアでは既に完売しております。
冰島は私にとって重要な茶産地ですので、実際の状況を把握するために冰島へ行ってきました。
冰島の村は臨滄の街から4時間くらい離れた場所にあり、村は少数民族により構成されております。
村の中心部には、綺麗な駐車場が出来、冰島の案内の看板なども建ち並び、それを取り囲むように樹齢500年ほどの老木が沢山植えられておりました。
一見した瞬間に、これらの老木は過剰な肥料と剪定が行われていることが分かりました。
実際に少数民族の生産者に話を聞くと、年間9回の茶摘み、秋に一回の枝刈り、そして有機肥料のみを施肥していることが分かりました。
上記管理法ですと、どの条件をとってもお茶が過剰に成長します。農家の多くは有機肥料なら良いと考えておりますが、有機無機に関係無く、窒素肥料はお茶を過剰に成長するために、味の薄いお茶になります。
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肥料を吸ったお茶の葉は非常に深い緑色をしており、葉も大きい。
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冰島の周りに広がる茶園
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土の質を評価しているところ:土は見た目と香りで質が評価できる

最近では個人客が直接村を訪れるらしく、それが値段高騰の一要因のようでした。村の中心部にある高年齢の老木によっては原料茶葉が1kg数千RMBで取引されておりました。
直接現地に来る多くのお客さんが、お茶の評価方法を知らないために、いたずらに樹齢の古い木を求めます。実際、お茶を作っている人もその殆どがお茶の品質評価は出来ません。彼らは最近の老木ブームに基づき樹齢で値段を決めます。その結果、人々は老木というイメージに対してお金を払うようになり、老木の値段が高騰します。実際に超高級とされる老木から摘まれたお茶を淹れて貰いましたが、味が極めて薄く、喉越しは殆どの無く、余韻のないまるで茶園産のプーアル茶のようでした。このようなお茶がRMB数千の値段で取引されているかと思うと、絶句してしまいます。冰島及び周辺数十キロの範囲には老木に加え、大規模な茶園も広がっており、これらも冰島の銘柄で流通しております。実際マレーシアで流通している冰島の多くは茶園産の茶葉が使われております。
私は同じ冰島でも、村の中心部からは仕入れておりません。現代農業の洗礼を受け、老木ブームに沸いている冰島村中心部のお茶は、恐ろしく高く、それに反比例して品質は低いため、もし取り扱った場合HOJOの信頼が揺らぎます。

氷島の村中心部から離れた山のお茶を加工

私の仕入れ先は冰島村から更に奥地の高い標高のところに位置しております。茶園では今も自然栽培が行われており、お茶は無剪定、枝刈りは一切無く、茶摘みも年に2回ほどしか行われません。お茶の木は周りの自然と同化しており、病気にも虫にも強い木に仕上がっております。
お茶の木は窒素不足から、ヒョロヒョロとしており、見るからに苦労が滲み出ております。このようなお茶の木の場合、葉の数も少なく、それぞれの葉も大きく育ちません。
このようなお茶の木は、お茶の葉を噛んだ瞬間にその良さが分かります。香りがスゥーーーと喉に落ちてゆき、透明感ある味がします。
それにしても、今年の冰島は大変品質が良いと思いました。私がこれまで販売していた布朗山古樹生茶よりも更に喉越しが強く、厚みのある香りがします。
私は去年から買い続けていると言うこともあり、昨年と全く同じ値段で仕入れることが出来ました。
今年の冰島の出来は非常に良いため、この原料をプーアルジャスミンティプロジェクトにも使用予定です。
ただ、現在冰島は緊圧作業中です。実際にお茶を受け取るまでは安心できないですね。

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