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標高2000m付近でプーアル茶、梅蘭の仕入れ
- [2014.05.20] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
HOJOのプーアル茶のラインアップの中に梅蘭というお茶があります。このお茶は柑橘系のトロピカルフルーツ、ポメロ、グレープフルーツの皮の香りを連想するような甘い香りがするお茶です。毛茶の段階でとても個性がある香りが感じられたため、その特徴を最大に生かすために緊圧せずに販売しております。
麻薬のゴールデントライアングルの近くの村
今年もこのお茶を仕入れるべく、雲南省の産地を訪問しました。梅蘭の産地は、雲南省の南西部に位置する臨滄というエリアに位置します。臨滄の中でも、ミャンマーの国境地帯周辺で、ミャンマー、ラオス、タイのエリアにまたがる旧麻薬のゴールデントライアングルからほど遠くない距離にある村です。
このため、梅蘭の産地付近には多くの検問所が設けられており、私が訪問した時も、検問所を通るたびに車から降ろされ、パスポートや手荷物を中心に想像以上に厳しい検査を受けました。
自然栽培によるミネラルがたっぷり含まれるお茶
梅蘭の特徴的な香りですが、その最大の理由は、お茶の木が「自然栽培」であることです。
雲南省における自然栽培のお茶とは、つまり、一切の手入れをしていない茶園を指します。お茶の木は日本の茶園のようにうね状になっているのではなく、庭木のようにポツンポツンと植えられております。お茶をうね状に仕立てた場合、地面への日当たりが悪くなりますが、1本ずつ栽培した場合、お茶の木だけでなく、お茶の木の周りにも日が当たり、他の草木が茂ります。お茶の木の周りに他の草木が茂ることで、窒素をはじめとする自然の循環システムが機能します。これらのお茶の木は完全に周りの生体系に溶け込んでおり、一見するとお茶の木であることすら気が付かないほどです。自然栽培のお茶は、また、1つの木当たりの葉の数が非常に少なく、ゆっくりと時間をかけて成長するために、ミネラルが濃縮され味の濃いお茶になります。
うんかによるマスカテルフレーバーが関与
農家の仕事はお茶を摘むことのみであり、肥料も農薬も全く与えないため、慢性的な窒素不足からお茶の成長が著しく遅くなり、その結果、茶葉に含まれる葉緑素が少なくなり、茶葉はバナナの皮のように黄色く変化しておりました。また、お茶の木の周りには多くの自然の草木が生い茂っていることから、ウンカ等の昆虫が豊富に生息しており、どの茶葉も例外なくウンカに汁を吸われておりました。ウンカによる攻撃を受けた茶葉は、ファイトアレキシンと呼ばれる防御物質を作り出します。この物質を含むお茶を発酵すると、台湾の東方美人に代表される、蜜香、或いはマスカテルフレーバーと呼ばれる甘い香りが生じます。プーアル茶の場合、東方美人や蜜香香茶とくらべると発酵度が非常に低いことから東方美人的な香りこそ感じられませんが、生茶の段階でもマスカテル系の香がしていたことから、それに微発酵が加わることで梅蘭の特徴的を形成しているものと思われます
食べても渋みや苦みがない生茶葉
今年は特に2000-2300mの高山地帯の原料茶葉から作られたお茶を中心に仕入れました。特に3月の20日過ぎくらいに摘まれたお茶を中心に仕入れたため、原料の質が極めて良く、大変満足出来る品質が確保できたと思います。私が特に感動したのは、生の茶葉を食べても苦みや渋味が感じられない点です。一般的に新茶であっても生茶葉を食べると渋みや苦みが感じられます。梅蘭の生茶を食べた際は、渋味の代わりに、むしろ甘味が感じられ、無意識に次ぎ次と生茶葉を食べてしまいました。今年仕入れた梅蘭はコクが極めて深く、柑橘系の香りが強く感じられ、個人的に大変満足しました。
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