梅蘭、プーアル生茶

HOJOのプーアル茶のラインアップの中に梅蘭というお茶があります。このお茶は柑橘系のトロピカルフルーツ、ポメロ、グレープフルーツの皮の香りを連想するような甘い香りがするお茶です。毛茶の段階でとても個性がある香りが感じられたため、その特徴を最大に生かすために緊圧せずに販売しております。

麻薬のゴールデントライアングルの近くの村

今年もこのお茶を仕入れるべく、雲南省の産地を訪問しました。梅蘭の産地は、雲南省の南西部に位置する臨滄というエリアに位置します。臨滄の中でも、ミャンマーの国境地帯周辺で、ミャンマー、ラオス、タイのエリアにまたがる旧麻薬のゴールデントライアングルからほど遠くない距離にある村です。
このため、梅蘭の産地付近には多くの検問所が設けられており、私が訪問した時も、検問所を通るたびに車から降ろされ、パスポートや手荷物を中心に想像以上に厳しい検査を受けました。

雲南省、プーアル茶の産地の村

自然栽培によるミネラルがたっぷり含まれるお茶

梅蘭の特徴的な香りですが、その最大の理由は、お茶の木が「自然栽培」であることです。
雲南省における自然栽培のお茶とは、つまり、一切の手入れをしていない茶園を指します。お茶の木は日本の茶園のようにうね状になっているのではなく、庭木のようにポツンポツンと植えられております。お茶をうね状に仕立てた場合、地面への日当たりが悪くなりますが、1本ずつ栽培した場合、お茶の木だけでなく、お茶の木の周りにも日が当たり、他の草木が茂ります。お茶の木の周りに他の草木が茂ることで、窒素をはじめとする自然の循環システムが機能します。これらのお茶の木は完全に周りの生体系に溶け込んでおり、一見するとお茶の木であることすら気が付かないほどです。自然栽培のお茶は、また、1つの木当たりの葉の数が非常に少なく、ゆっくりと時間をかけて成長するために、ミネラルが濃縮され味の濃いお茶になります。
プーアル茶の茶園

プーアル茶のお茶の木

うんかによるマスカテルフレーバーが関与

農家の仕事はお茶を摘むことのみであり、肥料も農薬も全く与えないため、慢性的な窒素不足からお茶の成長が著しく遅くなり、その結果、茶葉に含まれる葉緑素が少なくなり、茶葉はバナナの皮のように黄色く変化しておりました。また、お茶の木の周りには多くの自然の草木が生い茂っていることから、ウンカ等の昆虫が豊富に生息しており、どの茶葉も例外なくウンカに汁を吸われておりました。ウンカによる攻撃を受けた茶葉は、ファイトアレキシンと呼ばれる防御物質を作り出します。この物質を含むお茶を発酵すると、台湾の東方美人に代表される、蜜香、或いはマスカテルフレーバーと呼ばれる甘い香りが生じます。プーアル茶の場合、東方美人や蜜香香茶とくらべると発酵度が非常に低いことから東方美人的な香りこそ感じられませんが、生茶の段階でもマスカテル系の香がしていたことから、それに微発酵が加わることで梅蘭の特徴的を形成しているものと思われます

プーアル生茶の茶園

プーアル生茶の茶園

食べても渋みや苦みがない生茶葉

今年は特に2000-2300mの高山地帯の原料茶葉から作られたお茶を中心に仕入れました。特に3月の20日過ぎくらいに摘まれたお茶を中心に仕入れたため、原料の質が極めて良く、大変満足出来る品質が確保できたと思います。私が特に感動したのは、生の茶葉を食べても苦みや渋味が感じられない点です。一般的に新茶であっても生茶葉を食べると渋みや苦みが感じられます。梅蘭の生茶を食べた際は、渋味の代わりに、むしろ甘味が感じられ、無意識に次ぎ次と生茶葉を食べてしまいました。今年仕入れた梅蘭はコクが極めて深く、柑橘系の香りが強く感じられ、個人的に大変満足しました。

プーアル生茶

お茶の生産会社自体が、標高約1940mに位置しておりました。左手の時計に標高が表示されております。

日本茶(緑茶)、中国紅茶、白茶、プーアル熟茶、プーアル生茶、ジャスミン茶、烏龍茶という厳選された茶葉7種のお試しセット

関連記事 RELATED ARTICLES

お茶に関する最新情報を確実にキャッチするには? SOCIAL NETWORK

1,Twitterをフォローする。2,FaceBookで「いいね!」を押す。3,メールマガジンに登録する。という3つの方法で、お茶に関する最新情報をキャッチすることができます。今すぐ下のツイッターフォローボタンや「いいね!」をクリック!

メールマガジン登録で無料サンプルをもらおう!
メールマガジンにご登録いただくと無料のサンプル茶葉のプレゼントや希少商品の先行購入など様々な特典がございます。ソーシャルメディアの購読だけでなく、メールマガジンへのご登録もお忘れなく!

HOJO TEAオンラインショップNEWS一覧を見る

渡辺陶三作:秋津無名異、野坂粗土急須他入荷
佐渡島の無名異焼作家、渡辺陶三氏の茶器が多種類入荷しました。 今回は、特に、秋津無名異酸化焼成と野坂炭化還元の急須・茶壺が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 秋 …
長期熟成をした緬境野生茶2014年産を再発売
緬境野生茶 2014(生茶)マレーシア熟成 緬境野生茶 2014は、マレーシアと日本で長期保存をしており、しっかりと熟成が進んだお茶です。 このお茶は数ヶ月間、有酸素で雲南省で保存し、その後無酸素にて追加熟成をしておりま …

最新の記事 NEW ARTICLES

渡辺陶三作:秋津無名異、野坂粗土急須他入荷
佐渡島の無名異焼作家、渡辺陶三氏の茶器が多種類入荷しました。 今回は、特に、秋津無名異酸化焼成と野坂炭化還元の急須・茶壺が多数入荷しました。 https://hojotea.com/categ/teaware.htm 秋 …
雲南白茶、理想を形にする現地生産
3月25日に雲南省に入り、現在まで白茶の製造に取り組んでいます。 本コラムでは、雲南省における白茶生産の実情や、その品質、管理のあり方についてご紹介します。 何故雲南省で白茶を作るのか 白茶といえば、まず思い浮かぶのは福 …
現地からのレポート:2025年の雲南省のお茶の状況について
3月25日より雲南省に来ております。 こちらには5月まで滞在し、現地でのお茶の生産や流通・品質管理を行います。 本コラムでは、今年2025年のお茶の生育状況、相場観などについてインプレッションを述べたいと思います。 気候 …
長期熟成をした緬境野生茶2014年産を再発売
緬境野生茶 2014(生茶)マレーシア熟成 緬境野生茶 2014は、マレーシアと日本で長期保存をしており、しっかりと熟成が進んだお茶です。 このお茶は数ヶ月間、有酸素で雲南省で保存し、その後無酸素にて追加熟成をしておりま …
自社開発した新製法にて自分たちで仕上げた野生紅を発売
野生紅のロットが2024年産に切り替わりました。 通常であれば特にお知らせすることはありませんが、今回の切り替えには大きな意味があります。 2024年産の野生紅から、私たちが開発した新しい製法を用い、私たち自身の手で作っ …
ミャンマー国境隣接地域産 鎮康古樹熟茶2022 発売
鎮康古樹熟茶2023を発売しました。 普段飲みに適した価格帯のお茶を目指し、非常に僻地の産地から茶葉を仕入れています。 https://hojotea.com/item/d154.htm ミャンマーとの国境を接する鎮康県 …
祁門紅茶の再入荷
暫く品切れになっていた祁門紅茶が入荷しました。 https://hojotea.com/item/b01.htm 祁門紅茶工場産の祁門紅茶 祁門紅茶は安徽省祁門県産の紅茶で、世界的にも知られる銘茶のひとつです。祁門県には …
フルボディの高級熟茶、忙肺古樹熟茶2023 200g餅茶を発売
忙肺古樹熟茶2023を発売しました。当店の熟茶の中でもトップレベルの非常に高品質な熟茶です。 臨滄市永徳県を代表するプアール茶の名産地 忙肺(Mang Fei)は、漢字の意味だけを見ると奇妙な地名ですが、もともと当地の少 …
火地古樹生茶 2022を発売
火地古樹生茶 2022を発売しました。 数年間の熟成を経て、爽やかで透明感のある甘い香りが際立つお茶です。 高山の自然栽培茶園産 火地は私達がお付き合いしている農家が保有する、臨滄市南西部に位置する永德県の標高2100m …
東山生茶 2024の散茶を発売
東山生茶 2024の散茶を発売しました。実は、東山の散茶を販売するのは今回が初めてです。 https://hojotea.com/item/d63.htm 雲南省臨滄市鎮康県の高山地帯で収穫された老樹茶 東山生茶2024 …

PAGETOP