HOJOではジャスミン茶には非常に力をいれており、原料となる茶葉を独自に選定した上で、特注にてジャスミン茶に仕上げております。
本コラムでは私の経験を踏まえ、ジャスミン茶の品質がどのように決まるのか、その仕組みを紹介したいと思います。

ジャスミン茶の味はベースとなる茶葉の品質できまる

ジャスミン茶はジャスミンの花や葉で作られたお茶ではありません。ジャスミン茶はお茶にジャスミンの鮮花の香りを吸わせたお茶です。
ジャスミンの花は夜に開花します。ジャスミン茶を加工している工場では、夜に茶葉(一般的には緑茶)とジャスミンの鮮花を混合し、花の香りを茶葉にしっかりと吸わせたのち、朝方、茶葉とジャスミンの花を分離します。
この為、ジャスミン茶の品質はベースとなる茶葉に大きく左右されます。原料茶葉の質は、ジャスミン茶の味に影響すると同時に、香りの質にも影響します。

茶葉を摘むタイミング

お茶摘みのタイミングはベース茶を選ぶ上で重要な要素です。早い時期に摘まれたお茶は口にいれたときの味わいが滑らかで、口の中でやわらかい甘味を呈します。
収穫時期が1週間、2週間と遅くなると、側芽が中心となるため、味のやわらかさが低下すると同時に味に僅かな渋味を伴います。また、お茶を摘む時期が遅くなるほど、茶葉の水分が低くなるため、釜炒り中の殺青温度が上昇する傾向があり、この事も品質に影響します。
更に、低いグレードのお茶、例えばティーバック用のジャスミン茶、ペットボトル用のジャスミン茶等は、2番茶や3番茶など夏に摘まれたお茶から作られます。

茶葉の基本品質=後味の濃さ

上で説明したお茶摘みのタイミングは口にいれたときのやわらかさや、渋味の有無に反映するのに対して、茶葉に含まれるミネラル量はお茶の品質の本質である後味の濃さ(余韻の長さ)に反映します。
濃い後味のお茶を入手するには、時間をかけてゆっくりと成長したお茶であることが重要で、茶園の標高が高く、木の樹齢が古く、無肥料栽培の3条件が重要な要素となります。時間をかけてゆっくりと成長した茶葉には鉄分をはじめとするミネラルが濃厚に含まれ、ジャスミン茶に使用した場合、後味が濃く、ジャスミンの香りに奥行きが生じ、また、香りの質も上品に感じられます。HOJOでは積極的に野生のお茶や自然栽培茶をジャスミン茶に用いることで、後味の濃さを重視したジャスミン茶をプロデュースしております。
尚、中国における有機茶園産のジャスミン茶ですが、私の経験上、意外に質が良くありません。有機栽培は多くの場合、商品の付加価値を高めるための投資であり、生産量を確保するために、多くの場合有機肥料の名の元に窒素肥料が用いられているためです。

着香工程におけるジャスミンの花の重要性

ジャスミン茶はジャスミンの鮮花の香りを茶葉に吸わせることで作られます。このため、ジャスミン茶の品質を語るには、茶葉の品質に加え、ジャスミンの香りの強さも大事な品質要素です。
質の高いジャスミン茶を作る為には、着香に用いるジャスミンの質、回数、花の量など、様々なポイントを管理する必要があります。
尚、質の低いジャスミン茶の場合、香料をスプレーすることで着香されます。

ジャスミンの花の質

同じジャスミンの花でも、品質に優劣があります。品質の高いジャスミンの花は香りが強く、香りの濃いジャスミン茶が出来ます。
果物と同じで、雨が多い季節の花は香りが弱く、仕入れ価格も安価になります。晴れの日が続くと、花の香りは強くなり、キロあたりの花の単価も高くなります。
雨降り続きに収穫された花は香りが弱い割に水分を多く含みます。この為、花の水分を茶葉が吸いやすく、その都度茶葉を乾燥をする必要が生じます。安価な茶葉だからと着香回数を増やすと茶葉が黄色っぽく変質します。
一般に、雨の日に収穫された安価なジャスミンは、ティーバック原料やボトル飲料などのような量産品のジャスミン茶に用いられます。

着香の回数

茶葉は一晩かけジャスミンの鮮花から香りを吸うわけですが、これをワインサイクルとすると、この着香サイクルが多いほど香りは強くなります。一般的に安価なお茶は3-4回の着香、高価なお茶になると5-7回くらいの着香が行われます。

ただ、着香の回数が多い程良いというわけでもありません。何度も着香をすると、茶葉の水分が上がってしまいます。その結果、水分を落とすため乾燥を繰り返すため、茶葉が褐色化し好ましくありません。ベースの茶葉の品質と使用するジャスミンの花の質、天候などを考慮に入れて、着香回数を最適化する必要があります。

一回あたりの着香に使用する花の量

着香回数を増やすかわりに、花の量を増やすというテクニックもあります。この方法の場合、茶葉へのダメージが少なく、品質の点でも理想的です。
今年はコロナの影響でジャスミン茶の需要が低下しており、ジャスミンの花相場が激しく下落しました。仕入れ値を下げるという選択しもありましたが、私は例年と同じ値段を出すことで例年の数割増しの量の花を着香に使用しました。

以上のように、ジャスミン茶の質を理解するには、茶葉の品質と香りの強さは切り分けて考えることが大事です。全体の品質、特に味は、茶葉の質に依存し、ジャスミンの香りの強さはジャスミンの花と、着香工程に依存するとご理解ください。

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