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  • お茶の品質を決める各種要素

今年はお茶の収穫が始まる前の3月21日から1ヶ月間雲南省に滞在し、現地にてお茶の生産と仕入を行ってきました。1番茶のシーズンがほぼ終わろうとしておりますので、2017年の雲南省南西部の臨滄、保山、景谷、昌寧、大理における新茶シーズンの気候、収穫量、品質、値段に関する総括をしてみたいと思います。

  1. 3月前半〜3月31日 : 晴れと曇り
  2. 4月1日〜4月7日 : 雨
  3. 4月8日〜4月14日:晴れ
  4. 4月14日〜 :雨また雨……..

今年の明前茶の時期は高品質のお茶は市場に出ず

以前の記事でも説明しましたが、今年は雲南省及び中国各地において雨が非常に少なく、乾燥が続いていたことから、例年と比べお茶の成長が2週間遅れておりました。通常であれば、3月25日頃にはお茶が作られ始めるのですが、今年は4月に入っても標高の低い地域、樹齢の若いお茶、肥料栽培のお茶などが摘まれた程度で、品質の高い自然栽培、高山、老木のお茶は全く成長する兆しが見られませんでした。その結果、清明節の前に収穫された明前茶(3月20日〜3月31日頃)については、肥料栽培、低い標高、若いお茶の木のお茶のみであり、品質的に魅力ある内容ではありませんでした。私は、無肥料、老木、高山の3つの条件を揃えたお茶を狙っていたため、今年生産されたカメリアシナンシス(野生茶を除く)については明前茶は一切仕入れておりません。

4月上旬の時点で肥料栽培の若いお茶は摘み頃を向かえておりました。

4月の上旬は雨天

4月に入ってからは、4月1日より小雨の日々が1週間続きました。温度も下がり、日中でもフリースを着てないと寒くていられず、私はホテルの部屋ではヒーターを付けておりました。これまで極端な乾燥が続いていたことから、この時期の雨はむしろ恵みの雨であり、天気がよくなり温度が上がれば、素晴らしい品質のお茶が出来ると推察しておりました。雨は4月6日頃(4月7日は曇り)まで1週間続いた後、打って変わったように晴天の日々が訪れました。待ちに待っていたお茶農家では晴天になった瞬間にお茶摘みを開始しましたが、品質に対して非常に厳しい生産者は晴天になっても2日間はお茶の回収を行いません。雨天直後のお茶は水分を含み、また、味が薄いためです。したがって、本当に良いお茶が摘まれ始めたのは4月9日頃からです。私の場合、お茶の仕入はその殆どが特注であるため、雨の後2日間はお茶摘みをしないように徹底しております。

例年の3-5割の収穫量

ようやくお茶が摘めるとあって、農家も生産者も出力全開で収穫・生産を開始しました。ところが、その先に悪夢が待っておりました。なんと、快晴が続いたのは1週間のみでした。14日から雨模様へと変わり、その後はずっと雨天へと急変しました。4月23-25日は地域によっては晴れ間が覗く物の、その後も4月いっぱいは雨天の予報となっており、農家も生産者も余りの生産量の少なさにパニックの状態となっております。
蓋を開けてみれば、四双版納も臨滄も生産量は例年の5割かそれ以下となりました。特に臨滄を初めとする雲南省の南西部は緯度と標高が高く、収穫時期がより後にずれ込んだことから、今年の生産量は例年の3-4割くらいではないかと感じております。非常に生産量が少ないことから、原料の生茶葉の値段は高騰し、平均で2-3割、場所によっては5割程度の値上がり傾向が見られました。ただ、原料茶葉が5割上がったとしても、仕入れ価格も5割上がるわけではないため、私の商品に関しては一部値段が上がりに留まり、残りは例年と同じ値段で仕入れることが出来ました。

過去10年で最高の品質

今年は乾燥のせいで収穫時期が異常に遅く、お茶が例年よりも遙かに長い時間をかけて成長したため、4月の晴れた1週間に作られたお茶に関しては、突出して良い品質となっており、多くの生産者が過去10年で最高の品質と断言しております。私自身、今年のお茶の品質の高さに正直衝撃を受けました。このため、仕入れ価格が例年並みの商品に関しては熟成分も考慮し、例年の倍〜3倍の量のお茶を仕入れました。但し、高い品質のお茶は4月9日から1週間の間に作られたお茶のみで、それ以降のお茶は雨により原料の質も加工の質にも問題あります。

4月後半の天気が予想以上に悪かった為に、4月の中旬に作られた非常に品質の高いお茶お茶が非常に稀少になっております。天気がよかった1週間に作られたお茶は、早い者勝ちで無くなり、その殆どが昆明や広州の市場に出回る前に現地にて完売となっております。この為、昆明の市場などに流通しているお茶の多くは天気が優れない時期に作られたお茶が多く、今年のお茶は品質が良くないという印象を持つお茶関係者も多いことと思います。逆に、4月の中旬に収穫されたお茶は惚れ惚れするほど品質が良く、2017年は各社の仕入れ能力によって仕入れられるお茶の明暗がはっきりと分かれた年になったと思います。

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