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プーアル熟茶と生茶の熟成の違い
- [2013.11.06] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
プーアル生茶と熟茶はどちらも保存熟成が可能ですが、熟成のしかた・熟成の目的には違いがあります。プーアル茶は新茶で飲むのも美味しいですが、保存することでお茶の熟成が進み香りが変化します。プーアル茶は長く保存すればするほど品質が上がるという人がおりますが、保存と品質は関係ありません。安いワインを何年保存しても、質自体が向上しないのと同じで、お茶の本質的な品質要素である、コクやボディはミネラルが関係しており、保存期間に関係無く安定しております。
プーアル生茶の熟成期間は好み次第
プーアル生茶の場合、新茶が良いか、数年熟成、或いは10年レベルでの熟成が良いかと言う点は、極めて好みに依存します。事実、年齢の若い人、女性などは熟成度の低いお茶を好みますし、逆に、男性や年齢の高い方はしっかりと熟成されたお茶を好む傾向にあります。また、季節によっても好みは変化します。暖かい季節になると、あまり熟成が進んでないお茶が美味しく感じられ、逆に寒い季節になると、熟成が進みフルーツの香りがするお茶が美味しく感じられます。
プーアル生茶の経年変化
プーアル生茶は微発酵ゆえに熟成により年々香りが変化します。ゆえに、毎年新しいお茶を仕入れ、保存することで自分だけの香を作り上げるのはプーアル茶の醍醐味です。適切に保存したお茶の場合、以下のように香りが変化するのが一般的です。
- 新茶:白茶に近い花のような香り
- 1-3年:蜜のようなほのかな甘い香り
- 3-5年:フルーツやサトウキビのような甘い香り
- 5-12年:乾燥フルーツのような甘い香り
ただし、変化の速度は保存環境の温度に深く依存します。
プーアル熟茶の経年変化
次に熟茶についてですが、熟茶についても保存を行うことで香りの変化を楽しむことが出来ます。熟茶の場合、微生物の発酵を利用し、2ヶ月近く発酵を行うため、新茶の状態でも極めて高いレベルで酸化が進んでおります。熟成=酸化という事実を考えると、高度に酸化しているプーアル熟茶の場合、熟成しても生茶ほど劇的に変化することはありません。熟茶の場合、生茶と異なり、熟成したお茶の方が明らかに美味しいと感じる香りがします。適切な環境で熟成されたお茶の場合、乾燥フルーツの香りがより強く感じられます。ただし、生産管理が極めて上手な生産者の場合、新茶であっても乾燥フルーツの香りを作り出す場合があります。私のラインアップですと、宮廷金毫、无量山熟茶などがそれにあたります。これらのお茶のように新茶の段階で既にフルーツの香りがする場合、熟成によりどう変化するのか将来が楽しみです。私のラインアップにある茶頭や古樹春尖は、現時点ではやや荒削りな香りがしますが、3-5年熟成することでどんどん美味しさが増すお茶だと思います。
お茶を保存する上で理想的な環境
- 出来るだけ無酸素
- 低湿度
- 出来るだけ高温
私は同じ銘柄のお茶を日本とマレーシアで保存しておりますが、通年の平均温度が高いマレーシアの場合、熟成速度が明らかに速く、日本で保存しているお茶の2-3倍の速度で熟成が進みます。
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