お客様から偶に「ミルクの香りがする烏龍茶」を紹介してほしいとお電話頂く事があります。また、台湾を訪れた際に飲んだミルク烏龍茶が忘れられないというエピソードも耳にします。このコラムでは、そんなミルクの香りがする烏龍茶に焦点を当て、より詳しく説明たいと考えています。

2種類あるミルクの香りがする烏龍茶

台湾におけるミルクの香りがする烏龍茶を聞かれた場合、私は2種類のお茶を思い浮かべます。

1つはミルク香料を使ったフレーバーティ、文字通りの「ミルク烏龍」もう1つは「金萱」という品種から作られた清香タイプの烏龍茶です。

以下それぞれのお茶について、説明いたします。

フレーバーを着香したミルク烏龍

ミルクの香りがする烏龍茶の1つは、フレーバーティです。近年、このタイプのお茶が大分増えつつあります。これは青心烏龍や金萱、四季春などの茶葉をベースに、ミルクの香りがする香料を噴霧・乾燥して作られたお茶です。初めて飲む人は、その強烈なミルクの香りに驚かれるでしょう。

ただし、香料を噴霧するお茶は、一般的に低品質の茶葉がベース茶として使用され、香料やその担体の影響もあり、お茶に雑味や渋味が感じられます。

私は個人的にあまり美味しいお茶とは思いませんが、台湾の水は相対的に美味しいこともあり、旅先の思い出として楽しまれ、お土産として購入されることが多いお茶となっています。

なお、ミルク烏龍は元々、以下で詳しく説明する金萱を模倣した烏龍茶と言えます。

ミルクの香りがする金萱烏龍茶

純粋な烏龍茶にもかかわらずミルクの香りがするお茶と言えば、私はすぐに金萱を思い浮かべます。

金萱は、青心烏龍や鉄観音などと同じくお「茶の品種名」です。この品種はミルクの様な香りがする成分を含有しており、清香タイプに仕上げるとミルクを連想するような香りを呈します。

「ミルクの香りがする烏龍茶」として知られている金萱ですが、全てのお茶が明瞭なミルクの香りを有するわけではありません。

実は、金萱には広く知られていない興味深い事実が存在しています。

上4枚の写真は金萱、下は青心烏龍。金萱は茶葉が幅広いという特徴があります。

標高が低いほどミルクの香りがする金萱烏龍

金萱は、標高が低い場所ほどミルクの香りが強まり、逆に標高が上がるとミルクの香りが穏やかになる傾向があります。標高の高い茶園で作られた金萱は、ミルクを連想する香りと共に花の香りが立ちます。

近年、SNSなどの影響により、ミルク香の強い金萱の需要が増加しており、低い標高の茶園産の金萱が高値で販売されることがあります。同時に、標高に関係無く、金萱の相場自体も全体的に上昇している傾向が見られます。

しかし、当然のことながら、標高が低い茶園で生産された金萱は余韻が短く、まろやかさに欠け、雑味を呈します。ミルク香の強い低地のお茶は、品質という点では目をつぶる必要があります。

その一方で、標高の高い茶園で育てられた金萱は、他の高山茶と同様に質の点で優れています。それは、余韻の長さ(後味・コク)、味のまろやかさ、香りの濃さなどに反映されます。透明感のある濃厚な花の香りに加え、程良い強さのミルクの香りがする、非常にバランスが良く美味しいお茶です。物珍しさから、強力なミルク香がする低地お茶も人気がありますが、継続的に飲むなら、高山産の金萱がお勧めです。

当店では阿里山産の1500-1600m付近の茶園で収穫された金萱を販売しております。標高の高い茶園産ゆえに、ミルク香に加えて花の香りも感じられ、とても華やかな香りのお茶です。

同じく当店では青心烏龍から作られた阿里山茶も販売しております。阿里山茶は非常に花の香りが強いお茶で、台湾の高山茶のスタンダードと言えるお茶です。同じ阿里山茶でも、品種の違いによって香りが大きく異なりますので、両銘柄を比較されるのも面白いと思います。

 

阿里山金萱烏龍の販売ページはこちらから↓

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