1. 歴史と文化  中国産の品質が適している理由

ジャスミンの花はイランが原産です。ジャスミンの花は唐の時代にシルクロードを経て中国に持ち込まれ、中国に入ってきてから既に1700年が経つと言われております。当時はジャスミンの花はデコレーションの目的のみに用いられておりました。ジャスミンの花をお茶に用いる取り組みは南宋(1240年)の頃、広東省で始まりました。明の時代になり、ジャスミンの花の香りを茶葉に吸着させる技術が劇的に革新され、原料の選定方法、ブレンドのレシピ、乾燥方法を始めとする具体的な加工法が確立され、マニュアル化されました。大規模な工業生産は清の時代に福州で開始され、1900年には福州でのジャスミン茶の生産量は1500トンに達しました。最も多いとき(1928-1938)には、ジャスミン茶の合計生産量は7500トンに達したと言われております。19世紀の終わりになると、外国の貿易会社が福州にオフィスを構え、ジャスミン茶は外国との重要な貿易アイテムとして取引されました。

ジャスミンパール

人気が高まるにつれ、ジャスミン茶の生産は南部から北部及び東部(浙江、四川、湖南、広西、雲南)へと広がりを見せました。しかしながら、ジャスミンは寒い環境下では生育することができず寒い地方では、ジャスミンを暖房下の室内に移動する必要がありました。これらの管理は非常にコストがかかることから、北部の生産会社は採算が合わなくなり淘汰されました。
中国の他にもジャスミンの香りは台湾の茶貿易商人の注目を集め、1873年には台湾より茶葉が福州に輸出され、ジャスミンの香りを付けるための委託加工作業が行われるようになりました。1882年には台湾の業者がジャスミンの種を持ち帰り、台湾国内で栽培を開始しました。1939年までには台湾におけるジャスミン茶の生産量は年間1300トンに達するようになりました。しかしながら、台湾の特徴的な気候のため、ジャスミンの花の香りは中国産のそれと比べると香りの点で劣っておりました。
1980年以降、広西の政府はジャスミン茶の生産を拡大するため多大な努力を行いました。同時に、広西はジャスミンの花の生産地として中国の商業省から認定されました。これら一連の改革により今日、広西のジャスミン園は最大で、しかも高品質のジャスミンが生産されることで知られるようになりました。

ジャスミン茶 ジャスミン茶

2. ジャスミン茶は優れた2つのの素材が出会うことで作られます

ジャスミン茶はジャスミンの花、または葉から作られていると勘違いしている人が多くいるようです。実際はジャスミン茶はベースとなるお茶にジャスミンの香りを吸わせることで作られます。ここで使用されるお茶の質、さらに、ジャスミンの花の質、鮮度、取り扱いにより、最終的に出来上がるジャスミン茶の質は大きく左右されます。低級のジャスミン茶は、番茶のような茶葉にジャスミンの香料を噴霧することで作られますが、上質なお茶になると、3月摘みの1番茶をジャスミンの鮮花と混ぜ合わせることで、お茶にジャスミンの花の香りを吸わせることで作られます。以下、ジャスミン茶の生産にもちいられる原料について詳しく説明します。

福建省における高級ジャスミンの原料となるベース緑茶

福建省における高級ジャスミンの原料となるベース緑茶

3. ジャスミンの花

ジャスミンは元々熱帯性の気候を好む植物で20℃以上の温度を必要とします。これまで広西のジャスミン栽培地区は気候的に最も生育に適していることが証明されております。この地域は亜熱帯性のモンスーン気候に位置します。この気候のおかげで、ジャスミンは容易に越冬することができ、凍結・霜の心配がありません。花が開花する時期は、大気温度が25℃以上あることが望まれます。ジャスミン園は丘陵地帯のスロープに位置しております。この立地は、良好な水はけとジャスミンに十分な太陽光が降り注ぎます。加え、土地が非常に肥沃であるため、サイズが大きく香りの強い花を付けます。この品質的な優位性により、他の花の70%の量で同等のレベルの香りが得られると言われております。

ジャスミン茶 ジャスミン茶

ジャスミン茶
ジャスミンの花畑

 

ジャスミンの花は幾つかの種類に分かれますが、大別すると3つのグループに分けることが出来ます。

1. Single-Petal(一重の花びら) Jasmine

1963年以前はこの種類のジャスミンが主にジャスミン茶加工用として栽培されておりました。この種類のジャスミン花はDouble-Petalジャスミン(8~9時)と比較すると早い時間(6~7時)に開花します。生産量が非常に少なく農園の単位面積あたりDouble-Petalジャスミンの半分くらいしか収穫が出来ません。加え、病気に非常に弱く、環境に対しても適応能力が低いため、近年ではほとんど栽培されておりません。

2. Double-Petal (2重の花びら)Jasmine

生産量が非常に高いこと、環境への適応能力が強いこと、花が一斉に開花すること、花からは強い香りが放たれていることから、ジャスミン茶の生産に適しております。

3. Multi-Petal (複数の花びら)Jasmine

摘花した後、花は7~8時に開花します。但し、花の開花の仕方が一定でなく、徐々に、更にランダムに開花することから、ジャスミン茶の加工用として用いた場合、香りが弱く適しておりません。

花の収穫時期は気候と生育地域の条件の違いにより一定ではありません。一般には、4つの主なシーズンに分けられます。

  1. 春花:一般的には5月~6月、年間生産量の15%が生産されます。
  2. 夏花:一般的には7月、年間生産量の30%が生産されます。
  3. 伏花:夏の終わり、一般的には8月、年間生産量の30%が生産されます。
  4. 秋花:一般的には9月~10月、年間生産量の25%が生産されます。

 

ジャスミン茶 ジャスミン茶

春の間は、環境の温度が低いことと、植物内に栄養が蓄積されていないことから生産量は少なく、品質的にも劣ります。早春と晩秋に収穫された花はサイズが小さく黄色みかかった色をしております。ほとんど開花しないことからジャスミン茶加工用には向いておりません。ジャスミン茶加工用に最も適している花は、夏と夏の終わりに収穫されたものです。温度が高く十分な日光と雨に恵まれており、これらの要素はより多くの花と、より大きなサイズ、よりすぐれた品質を作り出すために適しているのです。摘花で重要なポイントは、摘んだ花が夜開くかどうかという点です。そのため、摘花のさいは、ジャスミン茶の加工に適した花が注意深く選ばれ、摘まれます。摘花の基準は以下のようになっております。

  1. 花びらが完全で白い色をしており、長い茎があること。
  2. 緑色の花びらの物は開かないため、摘花しません。
  3. 既に開花している花は香りの多くが失われているため、摘花しません。

4. 茶葉

ジャスミン茶とはお茶の葉にジャスミンの花の香りを吸わせることで作られます。したがって、ベースとなる茶葉の種類は、使用されるジャスミンの花と同じくジャスミン茶の品質を左右する重要な要素です。ベースとなる茶葉ですが、一般的には中国産の緑茶がもちいられます。特に福建省産と四川産の茶葉が有名です。HOJOでは、プーアル生茶をもちいたオリジナルのジャスミン茶を製造しております。

福建省産の緑茶

ジャスミンパールの生産に用いられる茶葉は福建省で生産されます。茶園が立地する地域一帯は自然の山により囲まれております。また、24の自然の川が流れており、お茶に必要な水の供給源となっております。高品質のジャスミン茶には、3月20日頃に摘まれた1番摘みの緑茶がもちいられます。4月に入ってからも、さらに5月まで茶摘みは行われますが、時期が後になればなるほど、コクもボディも弱くなり、また、お茶に渋味が生じるます。また、2番摘み茶以降は成長が早いことから細胞が脆く、製茶中に多くのダストが生じます。2番摘み茶以降は茶葉の産毛が少ない事からジャスミンパールに加工した際に、茶葉は黒っぽく見えます。

福建省産の緑茶原料

福雲6号と福県大白毫が主にジャスミン茶の加工に用いられる品種です。これらの品種は他の種類のお茶と比較して、早い時期に発芽が起こります。芽は非常にみずみずしく、白い毛に覆われていることから、ジャスミン茶に加工した際、味・見た目の両面で優れた品質が得られます。摘採は3月に開始されます。一般的には1つの芽と2枚の茶葉が手作業により摘まれます。摘採の後、茶葉は室内の温度の低い場所に移動されます。

ジャスミンパール用の緑茶原料の市場

福建省の福鼎における市場:ジャスミン茶用原料茶葉の取引風景(真ん中にいるのが私、北城)

 

四川産の緑茶

四川産の茶葉は一般に高級ジャスミン茶の原料として使用されます。成都から車で数時間の所にある、名山の蒙頂山周辺で収穫される蒙頂甘露という緑茶が使用されます。この緑茶をもちいて作られたジャスミン茶は、碧潭飄雪(スノージャスミン)の原料としてもちいられ、このお茶については茶葉のサイズが非常に小さいためにパール状ではなく、そのままの状態で着香が行われます。また、ジャスミン茶に仕上げる際にジャスミンのドライフラワーを少し混ぜ込むこともこのお茶の特徴です。

スノージャスミン

雲南省産のプーアル生茶

コクが強く、適正価格の茶葉を求め、HOJOでは臨滄のプーアル生茶をもちいております。臨滄は雲南省のプーアル茶の産地の中では北部に位置し、お茶摘みは3月の20日頃から始まります。ジャスミン茶に合う茶葉は3月摘みの茶葉ゆえ、3月のうちに現地に入り、産地で直接仕入れを行っております。私達は毎年雲南省に行き、現地にて1ヶ月近く滞在することで、多種類のプーアル茶の仕入れを行っております。プーアル生茶のなかでも、少数民族により自然栽培された原料をもちい、コクとボディが極めて強い、マニアでも満足するようなジャスミンパールの生産を行っております。

プーアル生茶の原料

原料となるプーアル生茶

 

ジャスミンプーアル茶の原料となるプーアル生茶

プーアル生茶は、緑茶や白茶にそっくりの性質

自然栽培の原料

自然栽培の原料を使用:自然栽培は農薬肥料はもちろん、雑草も除去しない。

プーアルジャスミンパール茶

プーアルジャスミン茶

職人の手作業により進められる加工作業

ジャスミン茶は極めて複雑な手作業によりつくられます。緑茶は早春に加工され、その後、ジャスミンのシーズン(夏)が来るまで保管されます。香り付け工程では、最高の香りを茶葉に吸着させるため、花に対して過剰なまでのケアが施されます。

福建省産の高級ジャスミン茶はどれもパール状をしている理由をご存じですか?実は、ジャスミンの花との混合分散がスムーズに行われるよう、茶葉を球状に加工することで、ジャスミンの蕾と同じ形、同じサイズにしているのです。茶葉とジャスミンの蕾、それぞれ丸い球同士お互いに良く混ざり合うことが出来るのです。以下、福建省産のジャスミンパールを例にとり加工方法を説明します。

ジャスミン茶

5. 茶葉の加工

萎凋

摘採後の茶葉は丁寧に薄い層に広げられます。ダメージをうけた茶葉は褐変や黒変を生じ、最終製品の品質に影響を与えます。萎凋工程は茶葉の水分量が70%になるまで続けられます。萎凋工程により、茶葉からは青臭い香りが抜け、苦味と渋みが減少し、アミノ酸の割合が増すことで甘みが強く感じられます。


ジャスミンのベース緑茶

殺青 :酵素の不活性化

260℃に加熱されたドラムに茶葉を通すことで、一気に加熱を行い、酸化酵素(ポリフェノールオキシデース)の不活性化を行います。同時に、高温での処理は青臭い香りを抜くことにも貢献してくれます。
加熱処理により茶葉は柔らかくなります。柔らかくなることで、後工程に控える揉捻に適した性質になります。

ドラムによるベース緑茶の殺青

揉捻

乾燥後の茶葉は冷却され、完全手作業によるローリング(揉み)工程へと進められます。特徴的な珠状の形にする理由は、表面積を増やすことでジャスミンの香りを吸着しやすくするためです。全てを手作業で行うため、熟練の職人でも1日に2kgの製品しか仕上げることが出来ません。

揉捻

揉捻後の茶葉

ジャスミン茶のベースとなる緑茶

乾燥

珠状に成形されたお茶は、再び乾燥機で乾燥されます。最初は110-120の高め、その後95-105℃の低めの温度に調節されます。乾燥後の製品は7%の水分を含んでおります。

乾燥された茶葉はジャスミンのシーズンが来るまで倉庫で保管されます。保管中は水分量が9%を超えないよう、真空の入れ物で日陰の温度の低い場所に保管されます。
香り付け工程へ進む前に茶葉は前処理を施されます。

分級

茶葉の珠は篩にかけられ、サイズ毎に分級されます。また、同時に破片等、不揃いな茶葉を除去します。

復火

茶葉は再び乾燥機にかけられます。茶葉に焦げ臭い香りを付けないため、乾燥機の温度は低く保たれます。(100~110℃)乾燥することで保管中に茶葉が再吸収した水分を蒸発し、同時に保管級に付着した香りを揮発させます。乾燥後の水分は5%以下になります。

冷却

乾燥後の茶葉の温度は60-80℃位です。茶葉は薄い層に広げられ、室温より1-3℃高い程度まで冷却されます。茶葉が十分に冷却されていない場合、その後の香り付けの工程に影響を及ぼします。ジャスミンの花は環境温度の変化に対して非常に敏感であり、開花には低い温度が必要です。

ジャスミンパールのベースとなる茶葉原料

 

6. ジャスミンティ製造用の花の準備 まるで花屋さん並の厳重な品質管理!

摘まれたばかりのジャスミンの花は以下の項目に基づき管理されます。

冷却

花を工場まで輸送している間、花は呼吸をし続けているため、温度は徐々に増加し、38℃まで到達します。温度の上昇は、後の工程における開花に影響が生じるため、花は10cm以下の薄い層に広げられます。もし花が雨の後に収穫された場合、更に薄い層に広げ、送風機で空気を送ることで水分を揮発させます。

鮮花養護(せんかようご)

この工程は、積みあげられた花の温度を厳密に管理するために行われます。必要な時に花を開花させるため、この工程は非常に重要な役割を担います。ジャスミンの花の開花は温度の変化に大変敏感に出来ております。予定通りに開花させるためには、花の温度を32-37℃に維持する必要があります。もし、積み上げられた花の温度が30℃以下の場合積み上げる厚さを増すことで花の温度をあげ、逆に38℃を超すようであれば、層を薄くすることで温度を下げます。

ジャスミン茶 ジャスミン茶

篩(ふるい)い分け

約60%の花が開花した時点で花は篩にかけられます。篩い分けを行う理由は、花をサイズ毎に分級するためです。更に、緑の芽と茎を除く目的もあります。均一なサイズの花だけが集められ、用いられます。これは同じタイミングで開花を行うために重要な要素です。
ジャスミン茶の篩い分け

7. 茶葉とジャスミン花の混合 ファーストクラス並みのケア

これは最終製品の品質に大きく影響する非常に重要な工程です。以下、6つの重要な要素を示します。

1)茶葉と花の混合比率

使用される花の量は最終製品のグレードに依存しております。高品質の製品はより多くの花を必要とします。最高級のジャスミン茶100kgを作るためには、100kgの花が必要とされます。100kgの花は4回に渡り用いられます。

  1. 最初の着香:38kg
  2. 2回目の着香:30kg
  3. 3回目の着香:26kg
  4. 4回目の着香は6kgで行われます。

1級品(2番名のグレード)の場合、最終着香がありません。低いグレードのジャスミン茶になると、茶葉は使用済みの花で着香が行われます。

2)開花の割合

80%以上の花が開花した時点で茶葉と花が混ぜられます。開花が不十分な内に混合されてしまった場合、花は茶葉の重さで圧され、その後も開花することが出来ません。また、より大きく開花している方が表面積は大きくなり、着香がより効率よく行われます。

3)水分量

着香を行う際、茶葉の水分は4-4.5%に維持されます。着香の後、茶葉の水分は劇的に増加します。しかしながら、水分量が18%を超えないように管理が必要です。水分が18%を超えた場合、花が傷み始め、不快な香りが発生します。

4)積み上げられた花と茶葉の厚み

厚さの調整の目的は、茶葉と花の温度を管理するためです。一般的には30-40cmの厚さが用いられますが、様々な外部要因により厚さは随時調整されます。

5)茶葉と花の混合作業

敏速に行われる必要があります。時間をかけるほど、花の香りが飛んでしまいます。

ジャスミンと茶葉の混合作業

混合作業は全て手作業により執り行われます。まず、茶葉と花は3~5つのグループに分けられます。最初のグループは10-15cmの層に広げられます。その上に、同じく最初のグループの花が積み重ねられます。同様に各層とも茶葉と花を交互に積み重ねます。そして、最終的に熊手を用い混合を行います。花と茶葉の混合層はその後5~6時間静置されます。

通花

通花とはベンチレーション(通気)の意味です。ベンチレーションを行う理由は、1) 温度を下げるため。2)花に空気を与えることで、連続的に開花させるため。3) 二酸化炭素を放出させるためです。
職人は熊手を使い、茶葉と花の混合物を10-15cmに広げます。この作業は15分ごとに行われ、1時間続けられます。その後、温度の変化に合わせ、茶葉と花の層の厚さが調整されます。
合計すると着工のプロセスは10-12時間かかります。温度が下がると、香りが十分に付かず、温度が上がりすぎると花が黄色くなり変質した香りが付くため、温度調節はジャスミン茶の品質を構成する非常に重要な要素です。

起花-花と茶葉の分離

着香が完了した時点で、古くなった花は除去されます。除去するタイミングが遅くなった場合、花は劣化し、不快臭が茶葉に移ります。

ジャスミンと茶葉の混合作業 ジャスミンと茶葉の混合作業
一晩たち開ききったジャスミンの花 花が開くことで、ジャスミンの花は茶葉(パール)よりも嵩が大きくなり、篩で容易に除去することが出来ます。

烘焙 (Hong-bei) – 乾燥

着香が完了した茶葉は乾燥機により乾燥されます。乾燥の条件は着香の回数により変わります。

  1. 1回目の着香- 110~120℃, 水分 5.0~5.5%
  2. 2回目の着香- 100~110℃, 水分 5.5~6.0%
  3. 3回目の着香 – 90~100℃, 水分 6.0~6.5%

乾燥後、茶葉の温度を40℃以下に冷やす必要があります。温度が下がった茶葉は次のラウンドの着香工程へと進められます。

提花(Ti-hua) – 最終着香

この工程はジャスミン茶にとても新鮮な花の香りを付ける重要な工程です。最終着香の目的はジャスミンの香りを高める目的と、新鮮な生の花の香りを付ける2つの目的があります。この工程には最も高級な品質のジャスミン花(大きな花びら、白い色、強い香り)が用いられます。自然な花の香りを残すため、最終着香の後の茶葉は乾燥されません。最終着香をする前に、お茶の水分量が分析され、花の香りを混ぜた後の水分量を計算した上で花の使用量を算出します。最終製品の水分は8.5%以下に管理されます。

ジャスミン茶

8. 香りが良いだけでは高級ジャスミン茶ではありません

ジャスミン茶の質ですが、香りも味も大事ですが、プロの間で最も重要視するのは使用する茶葉の品質です。
ジャスミン茶は中国でもっとも沢山生産されるお茶の1つであり、中国のみならず、世界各国で大量に消費されております。当然、春に摘まれた茶葉だけでは需要に全く間に合わないため、春の終わり、夏、秋に摘まれた茶葉など、ありとあらゆる品質の茶葉がジャスミン茶の原料となります。1番良い原料は3月摘みの原料ですが、価格が高いために、市場にて流通しているジャスミン茶の原料の殆どは、春の終わり〜秋にかけて収穫された茶葉から作られます。質が低い原料から作られたジャスミン茶の場合、高級ジャスミン茶のようにジャスミンの鮮花と混ぜて着香が行われるのではなく、ジャスミンの香りがする香料を噴霧することでジャスミン茶は作られます。

春の一番茶と夏摘みの茶葉を比較した場合、一番茶にはしっかりとしたボディとコクが感じられ、渋味や苦味が全くないのに対し、収穫時期が遅くなるにつれ、ボデイがなくなり、また、収斂性を伴う強い渋味や、苦味が強くなります。透明感と、ふんわりとしたやわらかいな味わいを求めた場合、3月の20日前後に摘まれた一番摘み茶を使用することが重要になります。香りばかりを意識しがちなジャスミン茶ですが、ジャスミンの香りの質を左右するのは使用される茶葉の質です。

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