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紅茶は誰でも気軽に作れるお茶ですが、反面、上手に作るためには非常に高い生産技術が求められるお茶です。上手に作られた紅茶は、黄色の色素(テアフラビン)から構成されており、茶殻は明るいオレンジ〜茶色をしております。実際に市場に流通している紅茶を見ると、その過半数は発酵に失敗したもの(私は過発酵紅茶と呼ぶ)が多く、それらの茶殻は焦げ茶色〜黒色をしており、そのようなお茶は茶色の色素(テアルビジン)を多く含みます。
このような理由から、紅茶作りには専門的な知識が求められ、一般的に漢民族が紅茶作りの多くを占めます。漢民族は少数民族と比較すると教育レベルが高い人、また、経済的な感覚に長けている人が多くみられます。その様な事情から、彼ら、漢民族の運営する茶園はより多くの量がとれる現代農業方式が主流となっております。また、紅茶の産地も町を中心としてその周辺に発展しているのが一般的です。雲南省における「雲南紅茶」別名:滇紅の場合も、生産の中心となっているのは臨滄市の鳳慶と言う町です。この町には漢民族が多く、経済的にも、インフラ的にも極めて発展している町と言えます。逆に、山間部や僻地へと行くと、紅茶よりもプーアル茶の生産率が高く、上手に製茶された紅茶を見つけ出すのは簡単ではありません。
もちろん山間部の少数民族でも紅茶作りに挑戦することはあります。紅茶の方が一般に高い値段が付きますが、発酵に失敗した場合、値段はむしろプーアル茶よりも安くなってしまいます。従ってよほど腕に自信がある場合を除き、彼らは無難であるプーアル生茶の生産を行います。このような理由から、上質な自然栽培茶などの原料はその殆どがプーアル茶の加工に用いられ、自然栽培のお茶が紅茶に用いられる事は極めて希な事です。
プーアル茶の仕入れ中に偶然見つけた紅茶
このような事情にかかわらず、今年の春雲南省でプーアル茶の仕入れを行っていたところ、素晴らしい品質の紅茶3種に出会いました、いずれも自然栽培、標高2000m、3月摘みの良い原料茶葉から作られており、また、極めて上手に加工(製茶)がおこなわれておりました。
製茶の優劣を見極めるには茶殻の色を見るのが一番簡単ですが、今回見つけたお茶の茶殻は明るいオレンジ-茶色を呈しており、製茶が上手に行われていることを示唆しておりました。
今回見つけたお茶は合計で3種類、それぞれ全て異なる生産者により作られておりますが。何れも自然栽培のお茶から作られており、また、上手に発酵が行われておりました。
雲南省における自然栽培とは「放置すること」
自然栽培とは、基本的に無肥料、無農薬、無剪定、更に、お茶の木の周りの雑草も除去しません。自然栽培というと難しそうな響きがしますが、簡単に言えば、放置に近い栽培方法です。

雲南省の場合、お茶の木は日本の茶園のようにうね状になっておりません。お茶の木はちょうど果物の木のようにポツンポツンと1本ずつ植えられており、木の周りには雑草が生い茂っております。
これら雑草を生やすことは自然栽培を維持する上で非常に重要なポイントとなります。無肥料のお茶の場合、窒素の供給は自然に頼るほかありません。ただし、土に含まれる窒素は無限ではなく、木々は年々生長しているために必要な窒素量は年々増します。
窒素が無くなると植物は成長する事が出来ません。窒素はタンパク質を構成する重要な元素です。植物を含むあらゆる生命体には酵素が含まれており、この酵素はタンパク質で作られております。
自然栽培のお茶を含む、自然の植物はどうやって窒素を補充しているのでしょうか?
実は一部の種類の雑草の根には根粒菌という空気中の窒素を直接取り込むことが出来る微生物が共生しております。これらの微生物は空気中の窒素を積極的に取り込み、その窒素が循環してお茶の木に回ります。雑草を除去したり、除草剤を撒いて枯らしてしまった場合、自然栽培のお茶にとっては、窒素の供給の枯渇を意味します。
つまり、自然栽培のお茶は周りの生体系と共に持ちつ持たれつの関係を築き上げているわけで、自然に溶け込んでいる状態を指します。
私にとって完全自然栽培のお茶は、山菜と同じで、山に属する植物という受け止めております。
自然栽培茶にこだわる理由
なぜ私が自然栽培茶にこだわるかという点ですが、安全性や宗教的、或いは有機食品や自然栽培原理主義を信仰しているというのが理由ではありません。
実は自然栽培茶の美味しさゆえなのです。お茶の味が分かる人にとって、一度自然栽培茶を味わうとその味の深さ、自然な甘み、濃度の濃い味わいに驚かれ、虜になると思います。
私は初めて完全自然栽培茶を口にしたときは、本当に衝撃を受けました。
例えるなら、天然の蕗、三つ葉、セリ、タラの芽、キノコと栽培品を比較するくらいの差があります。
また、天然の魚、地鶏と養殖のそれらを比較しても分かりやすいかと思います。
天然物(山菜)と栽培品の違いは何か分かりますか?お茶の品質評価の観点から見ると、大きな違いはミネラルの濃さでありそれが味に反映します。
旨味とかそう言うレベルではなく、味も香りも濃くなります。とれたての山菜は口にいれると、香りが喉にスーと入り、強いコクと濃厚なが感じられます。
自然栽培のお茶は正しく山菜のような「濃い味わい」のお茶なのです。
今回発売した3つのお茶の特徴
今回発売した3種類のお茶は全て自然栽培茶です。強烈に深いコクと、長い余韻は、一般の紅茶では決して経験することの出来ないレベルです。
香りはもちろんですが、上質で肌に染み入るような軟らかな「水質」を味わってみてください。
金芽
https://hojotea.com/item/b03.htm
文字通り金色をしたお茶です。3月に摘まれた若い芽を中心にお茶が作られており、滑らかで、とても軟らかな味わいが特長です。
このお茶は、是非、ミルクティにしてみてください。私が初めて金芽ミルクティを飲んだとき、ミルクティの常識が変わったと思いました。このミルクティなら毎日飲んでも良いと思いました。
雲南古樹紅茶 杏蜜香
https://hojotea.com/item/b39.htm
この紅茶は仄かな蜜香とメンソール香の両方の香りをを楽しめるお茶です。台湾の蜜香紅茶、東方美人や、ダージリンセカンドフラッシュに代表されるマスカテルフレーバー(中国語では蜜香と呼ぶ)と、セイロンティのウバや台湾の紅玉紅茶のように爽やかなメンソール香ががコラボレーションすることで、甘く爽やかな香りが感じられます。
雲南蜜香紅茶
https://hojotea.com/item/b38.htm
マスカテルフレーバー(蜜香)がふわりと感じられる紅茶です。マスカテルフレーバーと言えば、ダージリンセカンドフラッシュですが、ダージリンファーストフラッシュは6月に摘まれたお茶、雲南蜜香紅茶は3月に摘まれたお茶です。お茶の軟らかさ、口当たりは比較するまでもありません。因みに、雲南蜜香紅茶の産地である雲南省の臨滄は標高、緯度共に、ダージリンと非常に近く、言ってみればファーストフラッシュから作られたマスカテルフレーバーがするお茶です。実はより遅くに摘まれたお茶を選んだ場合、蜜香はより強く感じられます。これは季節が進むにつれて、より多くのウンカが発生するためです。ただ、蜜香を意識しすぎてお茶の品質を落とすのも悲しいため、HOJOでは3月摘みのお茶を仕入れており、蜜香は仄かにほわりと感じられます。
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