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2種類の全く異なるプーアル茶、生茶と熟茶とは?
- [2022.11.27] Written By 北城 彰(Akira Hojo)
プーアル茶(普洱茶)には、「生茶」と「熟茶」の2種類があることをご存じでしょうか?
生茶と熟茶はどちらもプーアル茶との名称が付いておりますが、製法からして、全く異なる種類のお茶になります。
実際、プーアル生茶と熟茶は、緑茶と紅茶くらい違います。
以下、熟茶と生茶の違いを簡単に説明したいと思います。
日本で一般的なプーアル熟茶
日本では一般的にプーアル茶というと、茶色をした、カビや古い木、乾燥キノコのような香りがするお茶を想像される人が多いのではないでしょうか?
実はこのタイプのお茶はプーアル熟茶と言う種類です。因みに、上手に作られたプーアル熟茶はかび臭さは皆無で、乾燥フルーツのような甘い香りがします。
熟茶は、1970年代に新たに開発されたお茶で、歴史は50年程度と非常に短いお茶です。
プーアル生茶を原料に微生物発酵で作られます。基本的な製茶手順は堆肥の作り方と同じです。
生茶を堆積し、そこに水をかけて水分量を上げた後、嫌気性菌と好気性菌、更に、真菌類の発酵を経て、2ヶ月弱で完成します。
プーアル熟茶の散茶(毛茶)
熟茶は中国でも北京や東北地方のような寒いエリア、香港、台湾、東南アジアで多く消費されます。
熟茶はあらゆるタイプの食事との相性が良く、また、ミルクティにしても美味しいお茶です。
プーアル茶の初心者はまずは熟茶から飲まれると良いと思います。
雲南省でプーアル茶と言ったら生茶
雲南省でプーアル茶と言ったら、生茶をさします。
生茶は熱烈なお茶愛好家が夢中になるお茶でもあります。
プーアル生茶は800年以上の歴史を有しております。
その昔、プーアル生茶は四双版納などの雲南省南部で生産され、プーアル県(普洱県)に集積後、そこから、チベット、ミャンマー、モンゴルなどの周辺諸国へと輸出されておりました。
集積地がプーアル県(普洱県)だったために、プーアル茶と呼ばれるようになったと言われております。
輸出されたプーアル茶は、馬と交換されたことから、この交易路は、茶馬古道と呼ばれ、第2のシルクロードとも呼ばれております。
茶馬古道はプーアル茶以外、雲南ハムも交易され、これがヨーロッパにハムの製法が伝播したきっかけとも言われております。
一般に、当時の主要産地であった、四双版納の生産地は、今でも知名度が非常に高く、易武、老班章などの産地のお茶は高値で取引されております。
但し、有名になりすぎた産地では、値段の高騰が起こり、それに伴って農家は更に生産量を増やそうと肥料を大量に使用する傾向があります。
この為、有名産地になるほど、質の低下が著しく、プーアル生茶を選ぶときは、産地の知名度で選ぶのは適切ではありません。
プーアル生茶の生産は、基本、緑茶と同じ製法です。ある意味、プーアル生茶は緑茶の一種と言っても過言ではありません。
実際には緑茶よりやや低めの温度(160℃前後)で殺青(釜炒り)が行われ、揉捻した後に、天日乾燥をして完成です。
緑茶
原料茶葉→(萎凋)→殺青→揉捻→乾燥(熱風乾燥が一般的)
プーアル生茶
原料茶葉→萎凋→殺青→揉捻→天日乾燥
作りたてのプーアル生茶の散茶(毛茶と呼ばれる)
プーアル生茶はどう楽しむお茶か?
プーアル生茶は製茶プロセスが非常にシンプルゆえに、紅茶や烏龍茶のように華やかな香りのお茶ではありません。
では、プーアル生茶は何を楽しむお茶なのでしょうか?
プーアル生茶の場合、なんと言っても、優れた茶葉の質を楽しむお茶だと思います。
プーアル生茶は、良い物になると、原料茶葉の質が他のカテゴリーのお茶では比にならないレベルで優れております。
(勿論、プーアル生茶でも質の良くないお茶も沢山有ります。全てのプーアル生茶の原料が良いと言う意味ではありません。)
標高2000mレベルの高地に位置している茶園、樹齢数百歳の茶樹、農薬は勿論、肥料を全く与えない栽培方法の場合、お茶が極めてゆっくりと成長し、それに伴い、細胞密度が高く、有機成分もミネラルも濃厚になるため、他産地のお茶では考えられないレベルの、長い余韻、深く、濃い後味が楽しめます。
プーアル茶に水を通すと、水が驚くほどやわらかく濃密になり、まるで雲南省の山奥の雫を舐めているような甘味を感じます。
香りこそ穏やかなお茶ですが、プーアル生茶の愛好家からすると、むしろ、自然で穏やかな香りだからこそ、飽きが来ず、継続して飲み続けられ、全くマイナスに感じられません。
保存による香りの更なる熟成
香りが元々穏やかなプーアル生茶ですが、長期保存することで、香りが熟成され、華やかな香気を形成します。
生茶は製茶の段階で、低めの温度で殺青した作られたお茶の方が、熟成の伸びしろが大きく、逆に、高温で殺青されたお茶は熟成による変化は穏やかです。
一概に長く熟成すればするほど良いという事では無く、熟成期間に応じて、香りの個性が変化するため、好みに応じて熟成期間を管理するのがお勧めです。
熟成期間に相関して、香りは、花や蜜→ フルーツ → 乾燥フルーツと変化します。
熟成方法はいろいろありますが、HOJOでは過去における種々の実験結果から、無酸素での熟成を好んで行っております。
一方、熟茶の熟成の場合、生茶のように「香りの種類の変化」というより、香りがより甘く、強くなる印象です。
私の感覚では、熟茶の熟成に関しては、長ければ長いほど良いように思います。
生茶・熟茶共に、10年以上熟成すると、水質がビンテージのウイスキーやワインのように滑らかになり、液体が舌に染み入るような感覚が体感できます。
お勧めの熟茶と生茶
HOJOのラインアップには多種類の熟茶と生茶があります。
基本熟茶はどれを選んで頂いても失敗は無いと思いますが、生茶に関しては、最初はある程度香りの個性がしっかりしているお茶を飲まれた方が良いと思います。
私としては最初に飲まれるなら、以下のプーアル生茶と熟茶がおすすめです。
烏木龍古樹生茶 2019
https://hojotea.com/item/d78.htm
无量山古樹生茶 2015
https://hojotea.com/item/d67.htm
无量山古樹熟茶 2019 ミニトウチャ
https://hojotea.com/item/d14.htm
雲県古樹熟茶 2019
https://hojotea.com/item/d24.htm
尚、マニアも唸るような、極上の原料から作られたプーアル生茶としては、以下の2種がお勧めです。
大茶林古樹生茶 2020と2021
https://hojotea.com/item/d103.htm
単株生茶 2019
https://hojotea.com/item/d105.htm
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